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何故、香港の税務申告にはあれほど猶予があるのか?

更新日:2019年03月22日

香港の法人税に於ける課税対象期間と言うのは基本的に会計期間と一致しています。例えばある企業(香港の企業、香港にある現地法人や支店等)の会計期間が1月1日から12月31日であったりすると、その企業の課税対象期間と言うのは1月1日から12月31日までとなると言った具合です。

ではこうした会社は日本と同様、事業年度末日の翌日から3ヶ月以内に株主総会を開催し、また税務署に対して税務申告を行わなければならないのでしょうか?


その答えを言うと「否」、そのようなルールは香港には存在しておりません。

税務申告の視点で見ると、香港のシステムは日本のそれに慣れた人達にとっては非常に"寛容"と言うか、かなりたっぷりな時間枠が設けられていると言っても差し支えは無いでしょう。そのカラクリを説明すると、香港では税務申告の期限と言うものが各々の企業の年度末日が属する月によって実は3通りに区分けされているからなのです。

例えば冒頭の12月31日が事業年度末として設定している会社の場合は、当該の年の税務申告期限と言うのが翌年の8月15日までとなります。実に8ヶ月半の期間が企業にとって設けられることでもあり、その間を利用して企業側は決算書を纏めるだけでなく、監査対策を立てることも可能なのですから香港税制は"企業寄り"の制度であると定義しても強ち間違いでは無いと言えるでしょう。

ちなみにそれ以外2つの括り(期間)についても日本のシステムに慣れた方々にとってはかなりの"自由度"があることを実感することになる筈です。例えば4月1日から11月30日までに年度末が終了する企業の申告期限は翌年の4月30日までですし、1月1日から3月31日に事業年度が終了する企業はその申告期限は同じ年の11月15日までと言うものになっています。

では一体何故、香港はこのような"長期間"に渡る期限設定を行なっているのでしょうか?

それを説明する為には香港の会社法で定められているルールのひとつに着目する必要があります。それは香港で会社設立を行なった会社(現地法人や支店等)は基本的に会計監査(及びそれに準じた決算資料の提出)が免れないからであり、物理的にこれらの監査を捌く会計士の数が乱立する企業数に対して(追いつかない)と言うのが主な理由なのです。

ひとつ想像して見て下さい。

朝から晩まで自分が担当している企業の決算書を作り、同時に(他の会計士が作った)他の企業の決算書に目を通してチェックを行なって行く作業が如何に大変で、且つ、退屈なの作業なのかを...。

実際のところはそうまでしても追いつかないのが実情であり、それを理解している税務局(IRD)は企業に対し、"業績の振るわない会社の監査報告と納税義務を一部ペンディングにする"と言った取扱いも導入していいたりします。曰く、(企業は)利益が出たら税務申告を能動的に行うことと条件付け、それを怠る場合は罰金を徴収する、と言って。

香港の税収は金融センターの名に相応しく、毎年非常に多くの税収を得られる結果となっている点も税務局が執拗な徴収を行わない動きにリンクしていることもこのような緩い期限とルール設定に反映していると言う見方をする者も地場には存在しますが、これは強ち見当外れでは無いと言えるかも知れません。

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