CCM香港 スタッフブログ|香港法人、オフショア法人を設立・仮想通貨の活用するための最新情報

【 海外居住親族に係る扶養控除の改正② 】

前回の配信では海外に移住される親族について日本で扶養控除や配偶者控除等の適用を受ける為の書類についてご案内させて頂きましたが、今回はそうなった背景に関してお話させて頂きます。

背景:
そもそも上記の扶養控除の改正の背景と言うのは、(些か逆説的なになりますが)海外に移住されている親族などの扶養控除や配偶者控除と言うところがその原因なのではなく、むしろ日本で働いている海外の方が(日本での)所得税を計算する際に、母国に残した妻や子供について扶養控除の適用ができるかどうかと言う点になっています。

 

この扶養控除制度について日本で働く外国人に関して、次のようなことが挙げられていました。

① 親族の範囲が広い
日本の所得税における親族の範囲は、6親等以内の血族と3親等以内の姻族とされており、非常に広いものとなっています。明治時代は、大家族主義でしたから、一世帯に世帯主を中心に、世帯主の妻、父母、兄弟、子、孫のほか兄弟の妻、子、孫が同居していることもあり、この世帯が、一つの経済共同体となっていましたが、現在では、多くの世帯は夫婦とその子供が多く、多人数でも世帯主の妻、父母、子、孫になっているものと考えられ、これまで扶養控除の適用は、一定範囲にとどまっていました。

② 扶養親族の38万円は高い?
海外に目を向けますと、一人当たりの年間収入金額が1000米国ドルに満たない国も少なからずあります。38万円は1米国ドル100円としますと、3800ドルとなりますので、そのような国で普通に働いている人でも、日本では扶養親族の対象となる可能性があります。

③ 生計を一にしていること
生計を一にするとは、扶養する者からみますと、その親族が必要なる生活費等の金銭を負担していることになりますが、これまで、書類の提出を義務付けていなかったため、形骸化している部分もありました。

このような問題から、日本で働く外国人の方が母国に残した妻や子のほか、親族の範囲に含まれる者の全部を扶養親族として申告しているケース、あるいは、養子として他人の子供を扶養親族とするケースがありました。

今回の改正は、このような扶養控除制度等の乱用に対して、一定の歯止めをかけるとためのものと考えられております。

■ あわせてこちらも ■
【 海外居住親族に係る扶養控除の改正① 】

 - 日本, 海外移住・国際 , , , , , , , , ,

↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓

にほんブログ村 海外生活ブログ 香港情報へにほんブログ村 経営ブログ 海外進出支援・海外支援へ

  関連記事

no image
香港と台湾の、“中国との関係”について

「日本加油」(=日本頑張れ) 4月21日、台湾が日本に対して送った200万枚のマ …

no image
ビットコインに関わる消費税の改正について

海外でもそうですが、最近日本でビットコインが話題となって参りました。 今年の4月 …

no image
香港飲食業界への進出について

香港人の一般的なライフスタイルの中では「外食」と言う習慣は切っても切り離せないも …

no image
7月は、国税の異動の季節(2)

前回の(1)では、国税組織の事務年度が毎年7月1日から翌年の6月末までであり、そ …

no image
【コーヒーブレイク】 今年に導入が予定されている「消費税増税」について

消費税の増税がいよいよ今年実行される予定です。もともとの政府計画では本来、既に8 …

no image
株式売却の落とし穴

日本に恒久的施設を持たない法人は、通常は日本税制から見て“圏外”と考えられる傾向 …

no image
世界(アジア)は何故、このBEPSプロジェクトを推進することになったのか?-2

昨今の租税を巡る国際的なムーブメントの中で特に重要なものと考えられている動きと言 …

no image
“非居住者”になっても課税が発生する項目とは?

事業で成功したり、親からの遺産を相続したりすることで財を成される方々が多くの場合 …

no image
香港進出を前にして当地のビジネス環境を知るには?

香港がコロナからの全面開襟を宣言してからと言うもの、当地ではようやく官民での積極 …

no image
駐在期間変更の際に備えなくてはならない事

『海外赴任』となるとその期間はケースバイケースであり、会社側としても一定の期間を …