【日本の税制調査会の動向(2)】
今回は『脱税』と『脱税回避行為』に関してご案内です。
◆『脱税』
『脱税』とは、納税額を少なくするために、事実を隠ぺい、或いは仮装をし、これを前提として申告納税することをいいます。
典型的なものとしては、売上げの除外や経費水増し、取引の相手方と通謀して実際の取引と異なる契約を締結するなどが挙げられます。
日本では、この『脱税』は重加算税の対象となり、場合によっては査察案件として起訴をされ、結果、刑事裁判により懲役等の実刑となることもあります。
◆『租税回避行為』
この『租税回避行為』とは、一般的には税法上合法となる方法によって租税負担を軽減するもので、この意味では『節税』と何ら変わりはありません。しかしながら、通常とは異なる法形式を採る事によって租税の課税要件の充足の回避、又は租税法に定める特典条項に係る要件の充足をすると言うものです。
具体的な事例として挙げますと、日本の消費税について免税事業者に関する要件を乱用するなどして、多額の消費税の納税を回避するようなケースがあげられます。
以上、こうした『租税回避行為』案件の税務調査は、その取引に係るすべての契約内容、取引に係る資金の流れ、当事者の意図など詳細なものとなり、長期間にわたるケースも少なくありません。
また、税務当局としてはこの『租税回避行為』を(捜査対象となっている)方々から発見した場合、他への波及効果を視野に入れた(税務当局としての)立場上の判断をせざるを得ない背景もありますが故、多くの場合に於いて”結果”を前提とした、即ち『課税処分を行う方向』で捜査が進むことが多いようです。
■あわせて読みたい■
【日本の税制調査会の動向(1)】はこちら
【日本の税制調査会の動向(3)】はこちら
関連記事
-
それでも引っ掛かる「移転価格税制」について
海外との取引で一番注意しなくてはならない税制と言うのは、やはり「移転価格」と言う …
-
【消費増税8%⇒10%の導入時期、正式決定】
消費再増税の時期が参院本会議で遂に可決と言う運びになりました。 昨年の景気に決し …
-
不動産熱が再現?香港の投資家の思惑の背景とは?
香港のメジャーな英字新聞である「サウスチャイナ・モーニングポスト」(電子版)の報 …
-
香港の「現状」と金融大手が見ている「未来」
日本のメディアなどの報道に洗脳されると実態を見誤ることは多々あります。昨年の米国 …
-
【NHKで預金封鎖、財産税の特集が放送されました】
HSBCお助け支店ブログで、NHKが放送した預金封鎖の動画がアップされています。 …
-
香港マカオへの渡航制限状況
※2020年11月25日の情報を公開しております。 >記事はこちら 2020年9 …
-
家族帯同か否か?海外駐在に於ける会社方針について
海外駐在員を送り出す際に会社側として考えることの中の1つと言うのは、駐在者が仮に …
-
世界(アジア)は何故、このBEPSプロジェクトを推進することになったのか?ー1
昨今の租税を巡る国際的なムーブメントの中で特に重要なものと考えられている動きと言 …
-
【 出国税(海外移住税)についての考察② 】
【🔶出国税の申告納税の時期と時価の算定時期】 出国税の申告納税の …
-
中国で日本人の現地採用を行う場合の対処とは?
海外進出を行うとどの会社も現地人を優先して雇うケースと、現地で生活をしている日本 …
- PREV
- 【日本の税制調査会の動向(1)】
- NEXT
- 【日本の税制調査会の動向(3)】