【”638億ドル”と言う金額の意味】
先月の話になりますが、香港の財政長官である曽俊華(ジョン・ツァン)氏は2015/16年度の財政予算案を発表しました。
その発表の中で注目された事というのは、来年度の予算案と言うより、むしろ昨年下半期に『国際金融センター』香港の経済とイメージにとって負の影響を及ぼしたと思われるあの大掛かりなデモ=「オキュパイ・セントラル」があったにも関わらず、結果的に香港の財政収支は黒字を確保したと言う事です。
それもこの1年で638億ドルもの額となるようで、総計では8,195億ドルの備蓄となる見込みです。 主要因として不動産市場から得た税収の増大が大きかったとの事で、その税収額は実に当初の予測の7倍もの数字にまで膨れ上がったとの事。
当然、そうなりますと”税金還付”と言う形で還元されるのは自然な成り行きであり、具体的には生活支援措置に回される事になります。例として個人所得税では(2万ドルを上限としますが)一人当たり75%の税金還付を手始めとし、子女不要控除額の引き上げ、不動産税は1軒あたり半年間分の免除、各種社会福祉に関する受給期限の2ヶ月延長など様々。またそれだけではなく、上述のデモで影響を受けた業界(観光、ホテル、小売り、飲食、運輸など)への特別支援策を実施する予定との事です。
香港は”財政収支”と言う視点でもこの様に非常にスマートな手を打つ為なのでしょうか、この2014/15年度も黒字となったと言う事で、実に11年連続財形収支黒字と言う結果を残し、今まさにその”果実”を市民に還元しようとしております。これに較べますと情けない話ですが、日本はこの香港の実績の倍の期間となる”22年連続”財政赤字と言う有り様。
道理で国税からの追求が厳しさを通り超した限度となりつつあるのも、こうした背景を如実に表す国の財政の”実績(=結果)”を見ると分かる様な気がします。
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