Apple社が採用した究極の節税スキーム~ダブルアイリッシュ・ウィズ・ア・ダッチサンドイッチとは?
iPhoneやiPadで有名なアメリカのApple社は、”地の果てまで追って来る”と時に揶揄されるアメリカの内国歳入庁(IRS)を持ってしても対策が立てられない節税スキームを採用しています。
これは、実はApple社だけでなく、他にもGoogle社、Amazon社と言った錚々たる企業も採用しており、現在で考えれらている”合法的な”節税スキームとしては世界でも最も税務署を悩ますもののひとつと捉えられているようです。
ではそのスキームの中身とは、一体どうなのでしょうか?
先ずそれはこのスキームの名前に注目して下さい。
【 ①ダブルアイリッシュ<=2つのアイルランド> 】
これはアイルランドに2つの法人を作る、と言うことを表しています。
まず一つ目のアイルランドの会社は米国のApple社の子会社との位置づけであり、この会社の役割は本社があるアメリカとコストシェアリング(費用分担)の契約をすることでライセンス付与だけの役割を担います。ここで肝心な事は、このアイルランドの会社の”管理支配部門”を国外に移すと、アイルランドの税法上では課税がされなくなると言うものなのです。そしてその移す先をApple社はこれまた法人税がゼロであるタックスヘイブン国(BVI)にすることで実質的に”税額ゼロ”を実現しました。
それでは二つ目のアイルランドの会社は何をやる所なのでしょう?
ここの会社は実際に営業活動をする会社になり、事実、人を雇うなりして実体を有する会社(一つ目の会社はペーパーカンパニー)にさせ、その営業対象先を米国外のマーケットへの販売業務と言う設定にする訳ですが、ここでライセンスを一つ目の会社から”付与されて”営業している支店と言う形を取らせることにより、利益の全てをこのライセンス料支払とすることで所得ゼロ(つまり法人税はゼロ)にするという形にします。
ここで注目すべき点は二つ目のこの会社を”支店”としている点です。
何故このような形にしているのか?
それは、アメリカのタックスヘイブン対策税制の為の処置なのです。
アメリカは(日本と同じく)全世界課税国であり、IRSが設定している条件をクリアしない限り、アメリカ企業が稼ぐ利益の課税対象は、文字通り、地の果てまで(=つまり全世界)対象となってしまいます。
日本のタックスヘイブン対策税制上でも”適用除外要件”と言うものがありますが、アメリカもそれと同様の規定があり、その条件をクリアして行かなくては非課税扱いとなりません。
ところが、ここで実体を伴わない会社(一つ目のアイルランドの会社)だけの設定ですと、この税制から逃れる事が出来ません。従って事業実体を伴っている二つ目の会社を一つ目の会社の『支店』とする事で、Apple社は適用除外条件を充足することに成功しました。
Check-the-box(=事業形態の選択をする)をうまい具合に利用出来たということです。
【 ②ウィズ・ア・ダッチサンドイッチ<=オランダを使ったサンドイッチ> 】
2番目としてはこの”オランダ”(=オランダの会社の事)を使うことが重要になって来ます。先ず何故、オランダの会社を使うのかと申し上げますと、これはアイルランドで作る二つ目の会社でのライセンス料を一つ目の会社に支払う際に、そのまま直接支払ってしまうと問題が発生(⇒ 源泉税が発生)してしまうからです。
その部分を回避する為、アイルランドが締結している他国との租税条約を洗い出し、その条約上で源泉税が”対象外”となっている近隣国がオランダであり、ここに現地法人を設立した後、アイルランド在の2社の間に”挟み込む=サンドイッチ”事でここでも課税をゼロにする事が可能となりました。
結果、自国以外の事業に関する主要部分において、その収益に課税が掛かり様がない合法的なスキームが出来上がってしまったのです。
依然としてこの構造に関してはその是非を巡って議論が紛糾していると言う話も出ているとの事ですが、Apple社を筆頭に、アメリカを代表する企業達がこれらを使用しているあたり、やはり相当の精度である事は間違いなさそうです。
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