【本社機能の海外移転スキーム(三角合併)のステップと留意点】
本社、特に本社が提供する機能の海外への移転に関しましては昨今様々な企業様の間で検討されている事項です。特殊スキームの構築などを行って、その結果自国以外の拠点にその機能を集約させることで節税効果を享受する事に成功した企業は(実は)かなりの数が存在しています。
著名な所では米国マイクロソフトや、(日本企業などですと)サンスターなどもそれらの成功事例として挙がって参ります。
ではこうした事を実際に行う際の具体的な移転方法とはどう言うものがあるのでしょうか?
それが今回ご紹介致します『三角合併』と言われる方法。
ではその『三角合併』の実際の手順としてはどのようなものになるのでしょうか?
以下、纏めて見ましたのでご覧下さい。
【本社機能の海外移転スキーム(三角合併)のステップ】
1.日本企業(A社とします)によって外国に新規の企業(B社とします)を設立する。
2.B社は直ぐに自己株式を全株取得する。
3.B社は日本国内でA社の継承法人となる子会社(C社とします)を設立する。
4.C社はB社保有の自己株式を購入。また同時にB社が発行する新株も購入(この時、C社はこれらの購入費用を自己資本とB社からの借入金で調達する)。
5.C社はA社株主に対してB社株式を交付。
6.C社はB社の株式と交換にA社株式を取得することでA社を吸収合併(三角合併)する。
7.結果的に上記のプロセスを経由してA社はB社の子会社C社となり、A社の株主=B社の株主と言う図式が出来上がる。
8.C社は無形資産をB社に移転する(資産の国外移転)。
9.これにて全てのプロセスが完了する。
上記に於ける留意点は、まさにC社がB社株式を取得する段階にあります。本社機能を置きたい地域や国(例:香港)によっては、こうした子会社による親会社の株式取得を禁止しているところもありますので選定地域はよく事前に吟味する必要があるでしょう。
ちなみにケイマン諸島などのオフショア国では、一般的にこうした事に対する期性は緩いとの事です。
↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓
関連記事
-
-
世界三大国際金融センターとして君臨する香港
アジアの金融市場ではその存在感を一層際立たせていますが、ここで生活する人達にとっ …
-
-
香港進出の為の基礎知識とは?
今回は香港進出をお考えの方々に取って必要となる基礎的な知識・情報をご案内したいと …
-
-
どうやったら税金は安くなるのか?(海外法人利用の場合)
一部の国や地域は除くとして一般的に企業や個人にとって、「税金」と言うものは避けて …
-
-
2017年訪日外国人の動向
毎年、日本には沢山の観光客やビジネスマン達が訪れます。主としてアジアからの来客が …
-
-
【 東京23区内居住と相続税 】
今年の1月から相続税の最高税率が引き上げられたり、控除枠が縮小する事によって税収 …
-
-
7月は、国税職員の異動の季節(1)
移動の時期というのは何かとバタバタする時期でもあり、今までの雰囲気と言うものが、 …
-
-
香港とシンガポール、似て非なる兄弟?それとも双子?
仮に、アジアに於けるオフショア市場をリードする国(地域)を“挙げて見なさい”と言 …
-
-
香港子会社から配当を回収すると言うことについて
香港は軽課税地域であるため、色々と税関係の話に絡んでくる場所です。当Blogにお …
-
-
居住国判定の際の「住所」とは?
日本と軽課税地域・国との間を行き来するような方々にとって、課税上の論点で国税局側 …
-
-
配当金送付にかかる税率の差
日本から直接中国進出をされて、稼いだ利益を配当金として直接日本本社に送る場合と、 …
- PREV
- 【APAとは何のことか?】
- NEXT
- 香港商標・意匠の登録に関するQ&A
