海外財産トラブル!亡くなった家族の遺産相続はどうすれば?
【ポイントその1】 遺産税はゼロ
2006年2月11日以降に亡くなられた方については、香港で遺産税はかかりません。
ただし相続する方が居住する国・地域によっては、その国・地域で課税対象となる可能性がありますので、ご注意下さい。
【ポイントその2】 遺産処理には裁判所の承認が必要
故人が香港で所有していた預金、法人株式、証券、不動産など一切の資産は、死亡時点でいずれも凍結されてしまい、
香港裁判所の遺産承弁処が与える「遺言執行状」もしくは「遺産管理状」がなければ、移動や譲渡が一切できません。
【ポイントその3】 手続きには非常に時間がかかる
案件着手から通常1年~1年半を要しますので、余裕を持って手続きを進められるとよいでしょう。遺産の種類により、手続きにかかる期間は異なります。例えば香港法人の株式である場合には、株式の譲渡価格を適切に査定するため、裁判所や印紙税局が下記の書類を求めてくることがあります。
・香港法人の登記簿謄本(数年分)
・香港法人の監査済み決算書(同上)
・香港法人の不動産を含む資産リスト など
【ポイントその4】 提出書類が多く、手続きが煩雑
香港の相続手続きにおいては、相続関係と遺言の有無について、長期間をかけて裁判所による徹底的な調査が行われます。
とくに故人が外国籍であった場合には、相続関係について適切に証明するため、次のような書類の提出を求められます。
・その国の弁護士による法的意見書(英文で)の作成
・戸籍謄本の公証(もしくは外務省での認証)、英訳の作成
・このほか、弁護士への委任状の作成と公証
【ポイントその5】 コミュニケーションの問題
裁判所が随時求める書類や情報の提出など、全て香港の公用語である英語もしくは中国語(広東語もしくは標準中国語)で
行わねばなりませんので、相続人がこれらの言葉を解しない場合には、手続きが大変難航することが予想されます。
【ポイントその6】 現地弁護士に手続きを依頼するのが一般的
裁判所との手続きとなるため、一般人には聞きなれない専門用語も多く、また煩雑な手続きに伴う負担を軽減できるよう、
香港では現地弁護士へ手続きの代行を依頼するのが一般的となっています。
ただし、現地弁護士とのやりとりはやはり英語もしくは中国語となりますので、やりとりに自信がない場合には、日本語対応の可能な弁護士事務所もしくは専門コンサル会社を探すなどの準備が必要です。
手続きには長期間がかかりますので、その間安心して任せられ、裁判所とのリレーションがスムーズな弁護士事務所やコンサル会社を選定されることをおすすめいたします。
以上に挙げさせていただいた以外にも、香港における遺産相続手続きに関してもっとお知りになりたいことがありましたら、どうぞお気軽に下記リンクから弊社にお問い合わせください。
弊社では香港以外にも、中国における遺産相続手続きのお取り扱いもいたしております。
http://www.ccm.com.hk/contact/
関連記事
-
-
【 “クレド”が作る社内文化と成長 】
海外でも国内でも会社を成長させる際に重要な項目はいくつもあります。 そんな中でも …
-
-
平成31年度の税制改正概要について-2
毎年の恒例行事でもありますが、昨年の12月、与党による次年度(平成31年)の税制 …
-
-
【どちらが優先?中国国内税法と日中租税条約のルールが異なる場合】
日本と中国も他の多くの国々同様、『租税条約』なるものを締結しています。例えば&# …
-
-
2019年4月の法人設立個別相談会のお知らせ
みなさま、こんにちは。CCM香港スタッフです。 CCM香港では定期的に香港法人設 …
-
-
2015年相続税増税のポイント
2015年1月から開始予定の相続税増税により、相続税の対象者が急増することが予想 …
-
-
独断と偏見で選ぶ、香港の『2019年10大ニュース』-1
1年の終わりになると必ず取り扱われるテーマの中に「◯◯◯◯年の10大ニュース」と …
-
-
【日本の税制調査会の動向(2)】
今回は『脱税』と『脱税回避行為』に関してご案内です。 ◆『脱税』 『脱税』とは、 …
-
-
【 海外居住親族に係る扶養控除の改正② 】
前回の配信では海外に移住される親族について日本で扶養控除や配偶者控除等の適用を受 …
-
-
出資比率に応じて変化するタックスヘイブン税制の取扱い(今年からいよいよ導入)
「香港」と言う地域を税務目線で見て行きますと、結論として「税務調査対象先」として …
-
-
【駐在員&出張者税務 - 日本と中国で2重所得税の課税?】
個人の海外税務において頻繁に出るキーワードのうちの一つは『183日』と言う言葉で …
- PREV
- 【中国から撤退をするには?】
- NEXT
- 中国進出時のトラブル発展例(会計/工場編)