【 国外資産は結局のところ把握される? 】
マイナンバーの通知が目前に迫って参りました。
スケジュールとしては2015年10月1日から国内に住民票を持つ国民に通知が行われ、
2016年1月1日からいよいよ制度が運用されると言う運びになっています。
さて、こうした整備によって以前発生した「消えた年金」のような事件は今後無くなって行く事になると
期待されておりますが、実はこのマイナンバー導入そのものが与える税務局(国税庁)の情報収集力に
関しましてはそれほど著しく進化する訳ではなさそうです。
そもそも国税庁には既に税務データベースとして管理システム(国税総合管理システム=KSK)が稼動
しているからであり、この中には納税者番号に基づいた個人ごとのキー情報が格納されています。
具体的には個々人の所得や資産状況、また税務職員が独自に収集した様々な情報など、事細かくイン
プットされていると言います。
当然その中には個人が行う海外金融商品(投資ファンドや生命保険、不動産など)購入なども含まれており、
これらの情報を銀行の送金データなどから(100万円超)手繰り寄せるなり(在国銀行は国税庁に個々人の
送金履歴を通知する義務<支払調書の提出義務>があります)、「お尋ね」と言う形の質問状をその当事者に
送るなり、あるいは税務署出頭を要請するなり…個人が所有していながら申告が定かでない課税対象資産の
情報の把握に努めます。
事実として実際の調査時でも質問の視点は多岐に渡るのが必至であると言います。例えば所得税調査でどこを
叩いても出て来ないとなると、次は贈与税・相続税へシフトしたり、ビジネスの場合などは(売買していない株式
などの有価証券)にみなし課税として出国税(国外転出時課税制度)を適用するなどまさに”あれが駄目ならこれ”
と言うスタンスです。
どれにしても、政府発表(今年6月)の「骨太の方針2015」はこのマイナンバーを利用した形で課税強化は声高に
宣言されていますので、その流れから予想すると、個々人の国外資産の全容把握もそう遠くないタイミングで
起こって来るかも知れません。
従って今後は、”皆様自身がこうした国の動きに対してどの様な手を打って行くのか?”と言う事が焦点となる事でしょう。
↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓
関連記事
-
-
海外子会社同士を合併させようとした場合に気をつけなくてはならない税法
海外のオペレーションは進出国のビジネス事情などを折りに付け確認しながら方向性に“ …
-
-
香港で快適な賃貸物件発見するには?
香港に赴任をする際にかなり高い順番で「不安」に思われる箇所があるとすれば、それは …
-
-
“追徴課税”と言う打ち出の小槌
本日のニュースで、住宅建材大手トステムの創業者(2011年死去)の長女が東京国税 …
-
-
またまた登場?来年度から導入が噂される「新出国税」
先月の26日、日経の紙面には日本の観光庁が新たな出国税を導入する検討に入ったとの …
-
-
【中国から撤退をするには?】
中国事業からの撤退方法は幾つかに大きく分ける事が出来ます。 先ずは『清算』、『譲 …
-
-
平成31年度の税制改正概要について-1
毎年の恒例行事でもありますが、昨年の12月、与党による次年度(平成31年)の税制 …
-
-
【駐在員&出張者税務 - 日本と中国で2重所得税の課税?】
個人の海外税務において頻繁に出るキーワードのうちの一つは『183日』と言う言葉で …
-
-
【日本の税務調査の基礎知識 (2)】
日本の税務調査に関しての基礎知識として、今回は組織別の調査をご案内させて頂きます …
-
-
通常の法人税と移転価格、その「調査」の違いとは?
「移転価格」と言うものは英語でTransfer Pricingと言い、企業相手の …
-
-
【 世界消費税ランキング 】
日本も消費税が5%から8%へと上昇し、そして2017年4月にはとうとう大台の10 …
- PREV
- 【 消費税とマイナンバー、今後の絡み 】
- NEXT
- 【 "クレド"が作る社内文化と成長 】
