【香港での監査報告書に於ける”意見”の種類】
一年の年度が終了すると、香港で設立をされている会社様は一様に会計監査のプロセスへと突入します。香港では「香港会計監査基準」なるものが存在し、会計士はこれをベースとして決算書の内容を精査して行く事になります。
その中で、例えば決算上重要と思われる部分に関する証拠書類(インボイスやレシート、契約書、合意書など)が企業側の管理の落ち度等を理由として無かったりした場合、監査する側にとっては決算書そのものの信憑性に欠陥があるとの判断にならざるを得ず、その際は”限定付適正意見”や、酷いものになると監査人そのものが意見を行わない”意見不表明”などと言うレベルのものが出て来たりするケースもございます。
ではそもそもその意見の定義というものはどうなのでしょうか?
今回はそれらの種類と定義をご案内したいと思います。
【 香港監査報告書 意見種類 】 1.無限定適正意見・・・会計法規に基づいて被監査会社の財政状態と経営成績の全ての重要な側面が充たされた財務諸表を作成した場合に付けられる意見のこと(→これが一般的な基準です)
2.限定付適正意見・・・監査結果が指摘された事項を除いて充たされた財務諸表を作成した場合に付けれらる意見のこと
3.不適正意見・・・指摘された事柄との関連性で財政状態と経営成績の全ての重要な側面が充たされていない財務諸表を作成した場合に付けられる意見のこと
4.意見不表明・・・指摘された事項のために財務諸表の真実性を認めることができない場合に付けられる意見のこと
特に1以外の各種意見(2から4)が付いてしまった場合は、最悪、銀行などからの借入を行う事などが極めて困難な状況に陥る可能性があります。従って当地の経営者でもこの部分には非常に神経を尖らせる方々が多いのは言うまでもありません。
尚、上記のこれら4つの基準は日本の監査基準や国際会計基準(IFRS)と同様のものであるとお考え頂いても結構です。
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