香港における慈善機構の設立について
香港税務条例の第88条に基づき、公共性を有する慈善機構や信託団体は、税務局に別途申請を行うことにより、各種免税措置を受けることが可能ですが、香港法人が慈善機構として認定され、免税措置を受けるには、次の要件を備えていることが必須となりますので、ご注意ください。
・純粋に慈善目的において設立されていること
ここで言う「慈善目的」とは、次の四点の活動を指します。
以下a)~c)の活動については、香港以外の場所でも実施可能ですが、d)の活動については、香港社会に有益なものである必要があります。
a)貧困の救済、特殊災害の被災者に対する救済、病人の救済、 身体・精神障害者に対する救済
b)非営利学校の設立と運営、奨学金の提供、特定学科における交流
c)教会の設立と運営、公共性を有する宗教機構の設立
d)上述の三点を除く、社会に有益で慈善の性質を有するその他活動(動物虐待の防止、環境や郊外自然の保護など)
なお、下記は「慈善目的」とはみなされなかった法人の活動の一例です。
1)政治目的の達成のために行われる活動
2)創設者もしくは寄付者の利益を促進するために行われる活動
3)特定の会社もしくは業界に属する従業員にレクリエーション施設や 運動場もしくは奨学金を提供する活動
4)特定のスポーツ(釣りやクリケット等)を提唱する活動
・公衆の利益のために設立されていること
社会全体もしくは相当大部分の人々に利益をもたらす活動であるべきで、一般的には、特定の人々の利益のために設立された機構については、慈善機構とはみなされませんので、注意が必要です。
何をもって「相当大部分の人々」とするかは判断が難しいため、ケースバイケースで税務局の担当官が判断することになります。
・慈善機構となれる法人
信託団体、香港法第155章(社団条例)に基づき設立された法人、香港法第32章(会社条例)に基づき設立された法人(いわゆる一般法人)、もしくはその他香港法に基づき設立された法人が含まれます。
・慈善機構として認定された後も、法人の活動が慈善目的を満たしているかどうか、税務局が不定期に、法人の決算書や登記簿謄本およびその他書類等を逐次検査することがあり、慈善目的を満たさないことが判明した場合には、免税措置を中止することがありますので、注意が必要です。
・また、付属機構を別途設立(もしくは閉鎖)する場合や、定款・細則内容の変更、法人名称や所在地の変更が生じた場合には、速やかに税務局に通知する義務があります。
CCM香港では香港における慈善機構の設立についてのご相談にも対応しております。
お問い合わせフォームはこちら
http://www.ccm.com.hk/contact/index.html
↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓
関連記事
-
-
運命の出会い?中国と香港を左右する2人の図式
香港がこの2年、中国が実施導入する様々な事案にその運命が左右されて来たことを否定 …
-
-
海外勤務者に対する課税問題。各種の費用支払いを日本本社が負担するケースについて
海外勤務者に対しては各種の諸手当、出国に伴う支度金、或いは語学研修費用など国内勤 …
-
-
もう一度、香港での法人設立とその運営
近年の海外法人設立の案件をシンガポールと並んで引っ張って来たのは紛れも無く香港で …
-
-
2018年10月の法人設立個別相談会のお知らせ
みなさま、こんにちは。CCM香港スタッフです。 CCM香港では定期的に香港法人設 …
-
-
【香港 – 監査報告書内の必須項目:『ビジネスレビュー』とは?】
香港で会社設立をされる会社様は会計監査を行う事が義務付けられています。これは香港 …
-
-
個人事業主やパートナーシップ形式を取って「香港進出」を実現する
香港に事業進出を行うとお考えである方々にとっては恐らく事業形態の検討を計画の最初 …
-
-
11月中旬、海外法人設立個別相談会(無料) 東京銀座にて開催いたします
みなさま、こんにちは。CCM香港スタッフです。 CCM香港では定期的に香港法人設 …
-
-
香港・中国での個人信用調査、法人デューデリ業務
海外でビジネスを展開する際、マネジメントクラス人材を含むローカルスタッフの雇用や …
-
-
米国の法人税率引き下げがオフショア市場に与える影響
アメリカのトランプ大統領が自国の法人税率を20%まで引き下げと言う、大統領選キャ …
-
-
中国における短期滞在者免除とは?
国際税法に触れるとその中で必ず出て来るものの内の一つに出張者の滞在日数を巡る部分 …
- PREV
- 海外進出企業の共通する悩み事について
- NEXT
- 香港法人の従業員解雇について