【日本の税制調査会の動向(1)】
『税制調査会』とは日本の内閣府の審議会等の一つです。内閣総理大臣の諮問に応じて、租税に関する制度を調査審議する機関となるのですが、この機関が発表した「平成26年6月 法人税の改革について」では、OECDから公表された「BEPS行動計画」(BEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)を踏まえて、国際的な租税回避を防止し適正な課税を確保するためわが国の国際課税制度についても、見直しを検討すべきであるとしております。
今回はこの”租税回避”に関して、節税、脱税、そして租税回避等を含めて3回に渡ってご案内させて頂きます。
◆ 節税
所謂、『節税』とは、合法的に租税負担の軽減を図る行為のことを言います。
合法的に経費の増加を図ることも『節税』ですし、税法上、選択可能な所得計算等について、納税額が少ない方法を選択することも『節税』に該当します。
税法上、選択可能な所得計算等の方法の一つに、外国税額控除があります。日本の法人が十分に所得を有している場合には、外国税額控除を適用することにより、日本の法人税の納税額は少なくなりますが、欠損で外国控除が十分にできない場合には、納付した外国税額を損金に算入した方が、結果的に納税額を少なくできる場合があります。
このように『節税』は、税法上認められた範囲内での租税軽減のための対策です。また、選択した『節税』の方法の良し悪しによっては、納税額に大きな差異が生じることになりますので、税務対策として節税策については十分な検討が必要でしょう。
但し、合法的な租税対策として選択した方法であってとしても、その租税対策の前提となる”事実関係”と”実際の事実関係”とが異なる場合には、税務当局からそれらは『節税』と言う解釈ではなく『脱税』であるとの認定がなされる可能性がございますので注意が必要です。
次回は脱税と租税回避に関してご案内させて頂きます。
■あわせて読みたい■
【日本の税制調査会の動向(2)】はこちら
【日本の税制調査会の動向(3)】はこちら
↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓
関連記事
-
-
何故、香港金融業界で働く選択する理由があるのか?
金融業界人にとって『香港』と言う都市は非常に魅力的にその目に映る場所であり、デモ …
-
-
【日本の税制調査会の動向(3)】
今回は平成27年度の税制改正に於ける国際的租税回避に関する「動き」がございました …
-
-
株式売却の落とし穴
日本に恒久的施設を持たない法人は、通常は日本税制から見て“圏外”と考えられる傾向 …
-
-
【 課税逃れ 特許移転にも網 】
9月1日付けの日経一面に、同上のタイトルで「 G20及びOECD(経済協力開発機 …
-
-
中国での個人所得税
中国に赴任になる方々が注意しなくてはならないことの中のもうひとつは、中国に於ける …
-
-
駐在員が欲する研修とは?
某リサーチ会社が行ったアンケートによると、駐在員、駐在経験者に”受け …
-
-
「金密輸対策」に本腰を入れ始めた財務省
昨年の11月初旬(2017年11月7日)、日本の財務省関税局はここ一年の間に急増 …
-
-
【香港ワンポイント -香港法人に日本の税金?】
【 質問 】 日本法人や日本の居住者が株主となっている香港法人の所得について、日 …
-
-
香港と日本の関係。「平成」を振り返ることで「令和」を想う
2019年5月1日、我国の歴史の中で“大きな変化”が訪れました。それは、過去30 …
-
-
【 海外居住親族に係る扶養控除の改正① 】
海外に居住する親族について日本で扶養控除や配偶者控除等の適用を受けたいと思われる …
- PREV
- 【日本の税務調査の基礎知識 (3)】
- NEXT
- 【日本の税制調査会の動向(2)】
