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キティちゃんもびっくり(⁉) EUが動き出した独占禁止法

更新日:2017年07月28日

6月16日のマスコミ各誌の報道では、ハローキティのライセンスを所有するサンリオが、EUの独占禁止法に抵触・違反した疑いがあるとして調査が開始されたとのことです。また、その10日後になる6月27日には、GoogleがEUの独占禁止法に違反したとして24億2千万ユーロの制裁金を科せられたとの報道がありました。これはあくまで一例ではありますが、(EUで課せられた)"制裁金"に対する日本の法人税の取扱いを今回はご紹介させて頂きます。


6月16日のマスコミ各誌の報道では、ハローキティのライセンスを所有するサンリオが、EUの独占禁止法に抵触・違反した疑いがあるとして調査が開始されたとのことです。また、その10日後となる6月27日には、GoogleがEUの独占禁止法に違反したとして24億2千万ユーロの制裁金を科せられたとの報道がありました。

サンリオについてはまだその行方は霧の中ではありますが、EUによるこうした"魔女狩り"とも言える強硬なアクションは関係業界などにも衝撃を齎していると言えます。

"制裁金"と称される類の支出は企業のイメージだけでなく財政的にも大きな負担を強いるものです。例えばこの制裁金に対する日本の法人税に関わる取扱いと言うのも普段なかなかお目に掛かれない部分ではありますので今回はこれをテーマとしてご案内させて頂きます。

1) 報道内容
ハローキティのライセンスを有するサンリオは、製造業者にライセンスを供与し衣服やバック等の商品にキャラクターを突か会うことを許可していました。ところがEU域内での国境をまたぐ販売などについては制限を行っていたとの事で、これがEU当局の目に留まり、『独占禁止法』に抵触・違反する可能性があるとの解釈へと発展しました。

またGoogleのケースについては、ネット販売について、自らが擁するサイトを"作為的"に検索画面の上位に表示するように行い、自由競争が前提となる環境を意図的に阻害していたとEUから糾弾され、制裁金の支払いを命ぜられることとなったのです。 


2) 制裁金の法人税法上の取り扱い
さて、日本の法人が各国の独占禁止法等により罰金や制裁金を課せられた場合には、税法上はどのような取扱いとなるのでしょうか?結論的にはその制裁金の税務上の取り扱いと言うのは損金の額に算入することは出来ません。これまでも、サンリオのみならず、日本企業がEUや米国から独占禁止法違反としてかなり高額な制裁金を課せられたケースは少なからずありましたが、これが15年程度前の税制改正により経費算入できなことが明文化されてしまいました。

サンリオ問題は、ライセンス許諾に係る範囲のテーマであり、ライセンスをEU内の1企業に許諾した場合には、その許諾に係る販売権はEU全体でなければならないことになっています。勿論、許諾先企業がEU市場の全域に販売網を有していれば何ら問題はありませんが、実の所はそのような企業はそれなりの規模や一定の水準以上の企業である場合が多く、(意外なことではありますが)なかなか存在しなかったりするものです。

確かにEU自体の考え方は理解を示せる部分があるとは言え、こうした部分での締め付けをタイトにすると結局のところEU域内での中小企業の商圏が縮小する等で締め出す結果に繋がり兼ねません。他方、Googleに関する問題と言うのはサイトの検索の表示順位にあり、公正取引と言う土台から鑑みると明らかなルール違反と取られても仕方ありません。



しかしながら、同様の手法やその効果と言うのは、他の媒体(テレビ等)によるCMでも生じたりしていますし、どこまでが違法でどこまでが合法であるのか?という部分の判断は非常に難しい部分ではあります。

EUは、世界的な企業のこうした独占的な行為に対しては(Appleなども同様に)非常に厳しい立場をとっており、その対象は日本のほか、米国や中国の企業も対象となっているようです。他方、日本や中国では、他の国の大企業を自国の独占禁止法違反とする例は少ないとの事で、この辺りのところと言うのは事業を世界的に展開する際の留意点の一つと考えられるでしょう。

アジアの傾向としては、その境界線に関する定義付けと実施の徹底と言うのは"伴わない"のはある種の既成事実であり、今回のハローキティやGoogleはEUとの国民性の違いも表している一面かも知れません。

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