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課税か非課税かを分ける、居住国判定上の住所

日本の税負担の軽減を図る方で海外在住の方が一番神経を使うのは自身が日本から見て居住者なのか非居住者なのかと言う部分です。事実として日本の税法における「居住者」の判定と言うのは、原則として国内に「住所」を有する者とされ、1年以上にわたって海外で居住することが予定されている場合(或いは既にそれ以上住んでいる方)には、居住者とはされないこととされています。

ではこの「住所」の"意義"と"検討項目"は、一体どのようなものでしょうか?
 
(1)   住所の意義
日本の税法には「住所」に関する意義規定はありません。従ってもっぱら民法に定める「住所」の意義規定を借用する形となっています。また民法では、「住所」について生活の本拠と定めていますが、そもそも生活の本拠とは何かについては全く規定がありません。

故に過去の裁判例等からその定義を引っ張り出して見ますと、1)住居、2)職業、3)生計を一にする家族、4)財産の所在、5)その者の言動等から他者が認識しうる当該者の居住意思等を総合的に検討して住所を決定すべき、とされているのです。


(2)   検討項目
a.住居
「住所」の判定の際の住居とは、居住を目的とする建物等[1]をいいます。居住を目的とする以上、起臥するための設備が必要であり、また、住居の場所を「住所」というためには、当該住居に相当期間にわたって居住することが前提となります。

例えば、旅館やホテルは起臥するための設備を有していますが、住居ではなくあくまでも宿泊施設に過ぎないことになります。この点、ウィークリーマンションや別荘[2]も同様と考えられます。また、住居を複数有している場合には、居住期間の長短のほか、他の要件と合わせていずれの住居の場所が「住所」かどうかを決定することになります。尚、住居は、当該個人の所有である建物等のほか、他人から居住用として賃借している建物等も含まれます。


b.職業
生活を送るためは、多くの場合、仕事に従事してお金を稼ぐ必要があります。また、仕事に関しては、その仕事をするための一定の場所が存在することが多いと考えられます。例えば仕事を行う一定の場所としては、サラリーマンの場合、多くは勤務先がありますし、農業の場合には農場があります。

このように、多くの場合、仕事をする場所と「住所」とは(通勤可能な範囲内であることの意味で)密接に関連しますので、住所を判定する際に、職業が大きな意味を持つことになるのは言うまでもありません。もっとも遠洋漁業の乗組員などのように仕事をする場所が(外洋のいずれかの場所)一定しないような場合には、他の要件により「住所」となる地を判定することになります。


c.家族
家族は多くの場合、一緒に住むことが前提ですので検討対象となります。もっとも、海外子会社に出向する会社員の中には単身赴任するケースも少なからずあり、このような場合には、当該会社員が1年以上海外に居住するかどうかで(「住所」ではなく)居住者に該当するか否を判定しています。

つまり、海外に常時勤務しなければならない職業を有し、かつ、海外に常時居住する住居を有している場合には、家族が国内にいても、日本の居住者とはならないことになります。もっとも、先に挙げた遠洋漁業の乗組員の場合には、仕事をする場所が一定ではありませんので、遠洋漁業から帰国した際に居住する場所(多くの場合家族の居住地)が「住所」になることになります。


d.財産の所在
通常のケースでは、財産の所在自体が課税上の問題となることは少ないと考えられます。例えば、海外子会社に出向する会社員の中には、日本国内に多額の資産を有したまま出国するケースがありますが、この場合でも前述の住居と職業が優先的に適用されることになるのが一般的です。もっとも、独身の猛烈サラリーマンで自宅には週に1度か2度しか帰らないような場合には、その「住所」を判定する際に生活用動産を含む財産の場所を重視しなければならないことになるかも知れません。


e.他人が認識できる当該個人の居住意思
この点の解説は少し難しいのですが、本来、個人が何処に住むかと言う問題は個人の自由意思に寄ります。このため、「住所」も個人の自由意思により決定されるべきだとの考え(主観説)もありますが、日本では、「住所」が法律関係の成否に影響することも少なくなく、外部から観察可能な客観的事実により「住所」を決定することとされています。


しかしながら、当該個人の居住意思そのものを否定することはせず、他人が認識できる言動等(客観的事実)から当該個人の居住意思について検討項目に加えています。例えば、当該個人の言動のほか、官公庁、金融機関等への住所変更届出、住民票の異動、知人等への転居通知などが「住所」の決定の要素に挙げることができます。

[1] 通常の意味での「住居」は、居住を目的とする「建物」をいいますが、建物以外に居住する者も存在しえます(地下の構築物や洞穴など)ので、ここでは「建物等」とします。
[2] 別荘として購入した建物であっても、生活の本拠とし、相当期間にわたって居住している場合には、当該別荘は住居に該当することになります。

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