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「金密輸対策」から派生して出て来る新たな"事柄"について

更新日:2018年01月12日

財務省関税局が昨年11月に発表した「金密輸対策」に関することは、業界以外の方々にとってはさほど関心があることではないでしょう。しかしながら、本件を軽視し安心していると、場合によってはここから発生する副次的な事象のために一般人の中でも迷惑を被る可能性がある人達が出て参りました。


この金密輸、一昨年(2016年)の摘発件数は年間で811件と言う数値で落ち着いていたのですが、翌2017年になると(この件数には)加速傾向が顕著になって参りました。具体的には昨年の1月から9月の累計摘発件数が976件まで増えており、そしてこの数値が関税局の目を引いてしまうこととなったのです。

また厳密には件数の伸びだけでなく、この976件の累計重量と言うものが実に4.5トンまで膨れ上がってしまっていたこともその要因と考えられています。何故なら4.5トンと云う分量の金の金額はと云うと実に225億円(1g=JPY5,000)に相当し、それを分母とした場合の消費税額と言うのは実に18億円分となってしまうからです。

また金密輸の推計となると、平成28年の日本の金地金の生産(菱刈鉱山での生産のほか電子部品からの回収が考えられます。)が96トンであり、その内国内消費量は58トンとされ、余剰分(38トン)は通常、輸出されることになります。

一方で輸出動向を見てみますと192トンの金地金が輸出されており、192トンから38トンを差し引いた154トンの大半が密輸による余剰分ではないかと考えられているのです。仮に密輸が本当にその推計の通りに150トンだとすると、約600億円もの消費税が課税漏れとなっていたと云う状況へとなって来る訳です。


こうした状況を受けた財務省側としては、この状況を看過する訳には行かなくなったと言うのも分かろうものです。そこで幾つかの緊急対策を設けることとして来ました。


【緊急対策の概要】
イ)検査の充実
関税局は、水際での検査の充実策として、徹底した検査のほか新たな検査機器の導入を行うとしており、具体的には、飛行機の搭乗前のみに行っていた金属探知機による検査を入国時にも行うとしています。また、金密輸にあっては、日本国内での売却代金を現金で持ち出す例が少なくないとされており、多額の現金等の携帯輸出入についても関税法違反として摘発することとしています。


ロ)罰金の上限額の引き上げ
現在、金密輸に係る罰金額の上限は1000万円となっていますが、この罰金の上限額を引き上げることとされました。また、併せて刑事告発により懲役刑や金地金の没収についても実施するとしています。


ハ)海外の税関当局との情報交換の推進など
検査の充実に際して、海外の税関当局との情報交換の推進のほか、各種の情報収集、国内の関係官庁との連携、金地金の買い取りに係る規制などが挙げられています。


実際のところ、上記のように100トンを超える金地金が密輸されているとなると関税当局としても本気にならざるとえないのは当たり前のことかも知れません。但し、一般の多くの方々にとってはこの金密輸は"関係ない"とも言えなくは無い訳ですが、幾つか予見される問題が出て来る可能性は否定出来ません。

それは例えば入国時に金属探知機による検査を受ける等の必要が生じて参りますので、これまでより一層、入国審査の時間がかかることが見込まれますし、その視点からも貴金属製品はできる限り身に着けないほうが旅行者等にとっては良い対応案となるかも知れません。

また、同時に必要以上の多額の現金を持つ等する方にとっては通関手続きを行う際、今まで以上に十分に注意すべきものであると考えられます。

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