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香港の労働法とその未来

更新日:2018年07月20日

日本の労働基準法に相当する香港の法令とは1968年に制定された「雇用条例(Labor Ordinance)」です。本条例は日本の労働基準法同様、雇用者に対して労働者を雇用する際の各種条件に関する最低基準を明文化したものであり、その適用範囲は以下の通りとなっています。


先ず本条例は香港で雇用契約に基づき雇用される全ての労働者(但し、事業主の家族構成員などは除く)及びその使用者に対して適用される事になります。日本のそれと違う点を上げさせて頂くと、最初の雇用の入口の部分、所謂「雇用条件」では、雇用関係自身が当事者同士の口頭あるいは契約関係者間の暗黙の了解によっても成立する旨が記載されていると言う点があるでしょう。

つまり香港では雇用主と従業員となる者達の間では雇用契約を必ずしも書面で行う必要がある訳では無いのです。


また、この条例では賃金の算定期間や支払期限、休日、年次有給休暇、傷病や産休に関連する休業時の賃金補償や各種保護、或いは解雇時の補償など、使用者が労働者に対して最低限保障すべき各種の労働条件を定めていたり、1週間に18時間以上の労働を連続して4週以上(=「継続的契約」と言います)行なっている労働者を対象にした条項等も記載されています。

仮に実際の労働時間がその条件を満たしてしまうような場合は、フルタイムの従業員であろうがパートタイマーであろうがその呼名やポジション等には関係無く、雇用者は年次有給休暇を付与しなくてはならないと言ったような項目もあったりします。


更に賃金保護についても本条例の主体項目のひとつと捉えれている為従業員の賃金の取り扱いに対してあからさまに抵触するようなケース(例:賃金の支払期限等)を雇用主の判断によって行った場合は最も厳しい罰則(最高35万香港ドルの罰金及び3年の拘禁刑)が設けられていたりします。

ちなみにその一例を上げさせて頂くと、パフォーマンスの悪い従業員を辞めさせる為に何の予告やステップも無しに基本給をいきなり下げたりしてしまった場合、それに憤慨した従業員が労働局に提訴し(結果として)雇用主が社会的にも大きなダメージを被ってしまったと言ったような話です。

幾ら雇用側には"1ヶ月前通知(One Month Notice)"と言うルールがあるとは言え、このようにやり方の順序を間違えたりすると手痛いしっぺ返しを受けてしまう可能性ががあるので細心の注意が必要です。

また、雇用に関連するその他の法令としては主に次に述べるような条例が制定されている事を雇用側は良く理解して置く必要もあるでしょう。


1)最低賃金条例
この条例は賃金の低い労働者の保護を目的としており、最低賃金について規定している条例です。「最低賃金レート」は、2017年5月に時給HKD 34.5(約494円)に引き上げられ約2年周期で見直しがされるルーティーンとなっています。

2)個人情報保護条例
個人情報に関連して個人のプライバシーを保護する目的で制定された条例です。本条例で保護される「個人情報」とは「生存している個人に関する情報で、直接もしくは間接的にその個人を確認出来る情報」を指しています。

この条例では個人情報の収集の目的とその方法、保持期間、使用、閲覧及び保護について定められている内容となっています。



昨今では日本同様、香港でも「雇用」に対する従業員の意識も相当変わって来ているのは事実であり、ビジネスそのもののスタイルも"電子化"や"AI"と言った新時代の波の影響で今後は益々複雑化して行くものと思われます。その意味で「雇用条例」ひとつ取っても常に注意を払って置くスタンスが何より重要と言っても過言ではないでしょ2

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