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楽観視できないタックスヘイブン税制の改定事項が与える企業へのインパクト1

更新日:2018年11月19日

軽課税地域に所在する法人にとって、"鬼門の税制"といつも考えらているものが「タックスヘイブン税制」というものです。弊社の記事でも度々この「タックスヘイブン税制」については取り上げさせて頂いてはおりますが、今回改めて触れさせて頂くのは今年の税制改正に置いて大掛かりな改定がこの分野に施されたからであり、結果、今後(香港や他国への)進出企業様に対して何らかの影響が出てくることが濃厚だからです。

1. 改正の概要
今年の3月27日、平成29年度税制改正関連法が参院本会議で可決・成立しました。そしてこの平成29年度税制改正の改正項目の中で注目されたものが、外国子会社合算税制、いわゆる「タックスヘイブン税制」の総合的な見直しです。現行の制度では、外国関係会社の租税負担割合が20%(別名、「トリガー税率」とも言われています)以上であれば経済実体のない所得であっても合算対象外となっていました。

しかしながら、今回(平成29年度)の税制改正に置いては、"外国子会社の経済実態に即して課税すべきである"とのBEPSプロジェクトの基本的な考え方を踏襲する形となり、その影響で制度そのものの抜本的な見直しが行われることとなったのです。

具体的な改正のポイントと言うものは以下の通りとなっています。

1)トリガー税率の廃止
2)ペーパーカンパニー等の特定外国関係会社への課税規定の創設
3)実質支配基準の導入と持株割合の計算方法の見直し
4)事業基準、所在地国基準及び非関連者基準の判定方法の見直し
5)受動的所得の範囲拡大


これらの中で、タックスヘイブン対策税制の見直し議論上最大の焦点となったのが①のトリガー税率の廃止です。従前のタックスヘイブン対策税制上においては、最初の判定基準としてこのトリガー税制は用いられていた為、20%(トリガー税率)以上である国に所在する法人の場合はタックスヘイブン税制の枠を自動的に外れてしまうことになります。

しかしながら、経済実態のないペーパーカンパニーであり、またその収益が受動的な所得しか得ていないような会社であるにも関わらず(例:ホールディング会社)、単に20%以上の場所に登記しただけで税務上の優遇的なポジションを得るというのは"問題である"と言う議論が噴出していた要因もあり、今回の新制度ではこの「トリガー税率」自体が廃止されると言う結果に繋がりました。その為、新税制の下では判定の手順が下記の2段階へと変化したことが挙げられます。

先ず、この外国関係会社がペーパーカンパニー等の特定外国関係会社に該当するか否かを判定し、ペーパーカンパニー等に該当しないような場合は"経済活動基準(*)"を満たすかどうかの判定を行うと言うステップです。原則としてペーパーカンパニー等に該当しない外国関係会社が経済活動基準の全てを満たす場合は一定の受動的所得の「部分合算課税制度」の対象となり、経済活動基準を一つでも満たさない場合には会社単位の「全部合算課税制度」の対象となります。

(*)経済的活動基準
1)株式・債券の保有、知的財産権の提供又は船舶・航空機の貸付けを主たる事業とするものでないこと(事業基準)
2)本店所在地国においてその主たる事業を行うに必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有すること(実体基準)
3)本店所在地国においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること(管理支配基準)
4)その主たる事業が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業又は一定の物品賃貸業に該当する場合においては、その事業を主として非関連者との間で行っていること(非関連者基準)、その主たる事業がこれ以外の事業に該当する場合においては、その事業を主として本店所在地国において行っていること(所在地国基準)

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