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香港を"水際"にまで追い込むか?深センの「先行モデル区」と言う政策-2

更新日:2019年09月03日

中国政府の一部が本当に深センを香港の"代替都市"とすると言う考えを持っているのであるなら、先ず取り組まなくてはならないタスクと言うのは香港が何故、この様な発展を成し遂げたのかと言う点を確りと理解しなければならないと言うことです。

かつての英国統治時代、香港と言う場所はその特色として先ず植民地であったが為、「民主主義」と言う体制そのものは存在していませんでした。しかしながらそんな環境下でも「法治」と「自由」は守られていたのです。

つまり、具体的には市民のビジネスや生活と言った領域の中では(政治上での)干渉がないと言う状態であったのです。まさにこれこそ"レッセフェール(放任主義)"のコンセプトが香港に根付いた下地そのものであると言え、当地の発展の礎(いしずえ)となった訳です。

このように「経済」の発展にとって一番必要なもののひとつと言うのは、上記のように「政治」の干渉がなく、「法治」と「自由」が守られていると言うことなのです。


事実、中国が2010年に世界第二の経済大国まで発展した背景と言う部分にも、実は政治の干渉に関する類似の事例があります。鄧小平が行った"改革開放路線"と言うのはまさに政治の干渉を抑制したやり方であり、それに沿って1980年代、90年代、そして21世紀0年代に置ける中央政治の経済に対する介入と言うのは(それ以前のスタンスと比較すると)随分と軽減されていたものでした。

勿論、当時の中国は(西側等と比較すると)不自由極まりないと言う状況のように見えるには見えていましたし、また「法治」の概念を元に社会や経済構造が動くと言うものではありませんでしたが、お金をある程度支払えば(イデオロギーに抵触しないレベルの)「自由」と言うものを購入することは出来ていたのです。

勿論、一方では共産党を腐敗が深刻化してしまうこととなり、これを問題視した習近平政権が撲滅キャンペーンの徹底を行なった為、今度は中国の経済成長そのもののペースにブレーキを掛ける形となってしまったのは皮肉とも言えるものです。


話を戻しますが、この「先行モデル区」と言う構想は、深センと言う市場を将来的には新しい形の一国二制度と言うものへのステップであると評しても強ち間違いではないでしょう。

但しこれを本当に実現させると言うのであれば、必ず直面しなくてはならない大きなハードルが中国側には出て参ります。それは、中国にある「法律体制」と「金融センター」とのクラッシュです。中国がこれを避けた場合の選択肢としてはシンガポールのような金融センターモデルを採用する可能性は出て来ますが、これとてもシンガポールの法体系の根幹部分にあるコモンローの概念を中国が受け入れる必要がある訳で、つまりどの道を行こうが最低でも「法治」が必要となってしまう訳です。

仮にこれに業を煮やした共産党が法を無視して企業や市場に命令を出すような愚挙(市場への政治的な干渉)を行なってしまうようであれば、深センは絶対に香港の代替えにはなり得ません。


しかしながら、今後も香港でデモが継続するとなると中国の推進する一帯一路や大湾区構想が頓挫する可能性が出て来ているのも事実であり、選択的には香港型一国二制度を深センに拡大させるか、深セン型の新しい一国二制度を創造し推進して行くことで香港を"無力化"させるしか進路がありません。


何れにしても、悩ましい行先であるのは事実であり、この通達の落とし所が一体どう言うものとなるのかがひょっとしたら数年内に表出して来る可能性があるのは確かでしょう。結果として香港が水際まで追い詰められて行くのかどうかには注目する必要があります。

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