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香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

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「支店」形式で進出を決定した際に準備をしなくてはならないこと

更新日:2019年10月09日

例えば日本の会社が投資元である本社事業の延長線上の立ち位置として営業の拠点を香港に設立する場合、"非香港会社"としての進出=即ち、「支店」形式での進出と言う手段が現実的な選択肢となるでしょう。

香港で設立登記された外国会社は、通常「支店」と呼ばれますが、これは駐在員事務所やリエゾン・オフィス(連絡事務所)とは一線を画しています。支店の場合、香港の現地法人と同じように営利活動を通じて事業展開ができますが、駐在員事務所等はこの営利活動そのものが禁止されている為、その活動は市場調査や情報収集、または本社に代わって既存顧客や新規取引先への情報提供等に限定されることになります。


では、非香港会社(支店)として進出を行うと現地法人形式とどのような違いがあるのでしょうか?以下がその違いの部分となりますのでご覧下さい。

1.支店は(同一の法人格であることから)本店の一部と見做される為、決算を本社の決算に含めなくてはなりません。従って、支店で発生した損失等は本店の収益に取り込む(相殺)することが出来る為、課税額を圧縮出来る可能性が出て参ります。

ところが、現地法人の場合は本社から出資を受けているとは言え、あくまで別法人としてのポジション(個別の法人格がある為)を有することから、このような損失を本社の利益とは相殺することは出来ません。


2.支店の場合は総勘定元帳に資本勘定が無いので、税引後の利益は本社利益として内部留保されます。一方、現地法人の税引後利益は配当金として本社に送金が可能です。


次に支店設立の手順についてはどのような流れと準備を施す必要があるのかご案内します。

香港では会社条例によって支店設立後1ヶ月以内に以下のような書類を会社登記所に登記する必要があります(尚、以下の書類は基本的に英文か中文のどちらかで行われる必要があります)。

1.本社の定款(認証謄本)
2.本社の登記簿謄本(認証謄本)
3.本社の決算書(認証謄本)
4.本社の取締役情報(認証謄本)
5.監査報告書(ある場合のみ)(認証謄本)
6.支店代表者の名前、香港住所、パスポートのコピー(認証謄本)
7.申請書(Form N1)

香港の会社条例上、「代表者」(Authorized Representative)と言うのは、香港の居住者であること、香港支店の代表者として会社関連手続や通知を行うことが出来る者、と言う形で定義しています。

また、上述の"認証謄本"とは通常、該当する管轄地において国際公証人が正式な謄本として認証した文章を意味しますが、香港での公式書類は全て基本的には英文か中文である為、万が一それ以外の言語(例:日本語)で作成されるような文書の場合、それを(翻訳者を登用するなりして)翻訳証明を受ける必要があるだけでなく、その翻訳を担当した者の翻訳技能を認定する公証人の証明書も併せて会社登記所に提出することを義務付けられています。


こうした形で準備を済ませ、書類に不備が無ければおおよそひと月以内に会社設立証書(Certificate of Incorporation⇒CI)と商業登記証(Business Registration⇒BR)が発行され、晴れて支店としての稼働体制が整うことになります。ただ、ここで一点支店開設者にとって重要なことと言うのは、支店の事業所在地で先の商業登記証(BR)を掲示して置く義務が発生すると言うことです。


その義務の背景と言うのは香港税務局の事情によるもので、この掲示を通して担当者が巡回確認を行う際に当該企業が事業実体を有しているのかそうでないのかを確認する術となって参ります。つまり香港支店の"稼ぎ"と言うのは基本的に香港の市場環境から発生すると考えられており、結果、これについて現地課税⇒納税と言う流れは必須事項となることを現地赴任の支店長などは留意して置かなくてはなりません。


最後に香港支店での会計監査は(現地法人のように)法的な強制力を受けることはありませんが、当局側からは常に推奨されていると言うことを理解して置くと良いでしょう。

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