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【 タックスヘイブン対策税制 ”適用除外要件”とは? 】

香港やシンガポールなどの軽課税地域・国に拠点を置く場合、進出形態として(それが一時的であったとしても)ペーパーカンパニーと言う形で進出をされるケースが多くなるのは否めません。

実際、こうした形で海外拠点を置き、何等かの所得をその軽課税国に留保することで日本の租税を免れる事態は生じており、これを防止する観点から、1978年(昭和53年)に導入された制度がこのタックスヘイブン対策税制でございました。勿論、当初はペーパー形式であったとしても、その後、日本企業が通常の事業を行うことは十分あり得ますし、日本の外国子会社等がその本店所在国の経済の一員として事業活動を行っているような場合には、タックスヘイブン対策税制の適用から除外する事にはなります。

今回は、このタックスヘイブン対策税制での『適用除外条件』について解説させて頂きます。

(1) 適用除外要件
タックスヘイブン対策税制の適用除外要件として、次の4つの要件が定められており、対象となる日本法人の外国子会社等が、これらの”すべてを満たす”場合には、タックスヘイブン対策税制の適用はありません。

① 事業基準
主たる事業が、株式等の保有、債権の保有、工業所有権等の知的財産の提供、船舶又は航空機の貸付け以外であること

② 実体基準
本店所在地国において主たる事業を行うために必要な固定的施設(事務所、店舗、工場など)を有すること。

③ 管理支配基準
本店所在地国において、主たる事業の管理、支配及び運営を行っていること。

④ 非関連者基準・所在地国基準
非関連者基準は、日本法人の外国子会社等の主たる事業が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業又は航空運送業である場合に、その取引の相手方が主として日本の法人及びその関連者以外と行われているか。

この場合、例えば、卸売業の売上げと仕入れのいずれか一方が、50%以上非関連者(日本法人とその関連者以外の者)との取引である場合には、この要件を満たすことになります。

所在地国基準は、非関連者基準に適用される以外の事業を主たる事業としている日本法人の外国子会社等に適用される要件で、主として本店所在地国においてその主たる事業を行っていることが要件とされています。

 - 会計監査, 個人所得税申告, 法人税税務申告

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