【日本の税務調査の基礎知識 (1) 】
「税務調査」と聞いてそれを好意的に捉える方々は世の中に余り居ないでしょう。
実際のビジネスの世界では、(人によっては)税務調査を”何度も受けた”と言う方々もいらっしゃいますが、実のところ、税務官がどのようなポイントに着目して調査を行っているのか?と言う部分を事前に熟知していらっしゃる方々は殆ど居ないのではないかと思います。
今回から日本の税務調査の根底なるロジックと言うものを3回に渡ってご紹介させて致します。
1回目の今回は”科目別等の調査”、2回目は”組織別の調査”、そして最後は”国税庁による調査”となりますのでお楽しみ下さい。
(1) ”税目別等の調査”
▪️一般的な法人税調査の一環として行われる国際課税に係る調査
例えばですが、香港に子会社を有する日本の法人に対して、通常の法人税調査が行われた場合、主に次のような項目について調査が行われます。
【 法人税調査の内容 】
① タックスヘイブン税制に関する調査
・香港子会社のタックスヘイブン税制の適用の有無。
・適用対象所得が計算に誤りがないかどうか。
② 利益移転の有無
・香港子会社との取引(商品等の財貨の取引のほか融資借入れなどを含みます。)や役務提供
(ノウハウなどの無形資産の提供、従業員の出向等)を含みます。
これらに関して、適正な対価を収受しているかどうか。
③ 香港子会社に日本での所得がある場合、国内に恒久的施設に該当するものはないかどうか。 ▪️移転価格調査
・香港子会社との取引は、独立企業間価格(第三者との取引に適用される価格)で行われているかどうか。
▪️源泉所得税調査
・香港法人に支払う金銭に関して、源泉徴収漏れとなるものはないかどうか(利子、使用料など)。
・香港子会社への出向者、香港子会社から日本法人への出向者等に支払う給与等に係る源泉徴収に誤りはないかどうか。
▪️消費税調査
・香港子会社に日本での売り上げがある場合、日本で納付すべき消費税はないかどうか。
■あわせて読みたい■
【日本の税務調査の基礎知識 (2) 】はこちら
【日本の税務調査の基礎知識 (3) 】はこちら
関連記事
-
2019年4月の法人設立個別相談会のお知らせ
みなさま、こんにちは。CCM香港スタッフです。 CCM香港では定期的に香港法人設 …
-
新型コロナウィルス対策:『追加支援策』に見る香港と日本の違い-1
最近顕著になって来ているのは、新型コロナウィルスの展開に各国で“差”が生まれて来 …
-
日本で3番目に大きな税務訴訟の事例となった「IBM事件」
企業側と国側の税金を巡る訴訟と言うのはいつの時代も熾烈を極めるものです。特に案件 …
-
仮想通貨をめぐる税務問題について
話題としては頻繁に出て来る「仮想通貨」ではありますが、一般市民にとって実際にビッ …
-
中国進出時のトラブル発展例(会計/工場編)
日本企業が中国に進出する際は大きく分けて直接投資(直接進出)か、間接投資(香港 …
-
【日本の税制調査会の動向(3)】
今回は平成27年度の税制改正に於ける国際的租税回避に関する「動き」がございました …
-
日本で増える金の密輸 大半は香港から?
消費増税が今年の4月から行われ、国民の財布の紐がより一層縛られているのが現状であ …
-
香港も入るタックスヘイブン地域の特性(1)
当Blogでも何度もご紹介させて頂いているお馴染みのテーマのひとつである「タック …
-
中国と日本の課税方式の違いとは?
中国で事業活動を開始する際は様々な点を周到に用意する事が肝要です。 しかしながら …
-
【 出国税(海外移住税)についての考察② 】
【🔶出国税の申告納税の時期と時価の算定時期】 出国税の申告納税の …
- PREV
- 【 出国税(海外移住税)についての考察② 】
- NEXT
- 【日本の税務調査の基礎知識 (2)】