CCM香港 スタッフブログ|香港法人、オフショア法人を設立・仮想通貨の活用するための最新情報

香港のトップ<行政長官>を決める選挙制度

9月28日に勃発・表面化した今回のデモ(傘の革命=Umbrella Revolution)は、とうとう今日で6日目を向かえることになりました。

民主化を叫ぶデモ隊と全人代の決定を順守しようとする香港政府はようやくその話合いの場を設ける事となり、現在は双方の主張点に対して妥協を探る形になっているとの事ですが、果たしてこの先どうなるのでしょうか。

このように行く末が不透明化している香港ではありますが、今回は香港のトップである「行政長官」を決める選挙の構造をご案内させて頂きます。

香港は(日本と同じように)3権分立体制を取っています。

①立法会(議会)
②政府(香港特別行政区政府)
③司法(終審裁判所=最高裁)

特別行政区(香港の事)の方針は、基本的に上記3つの機関によって決定・運営がなされています。

しかしながらその実状はと言うと、②の政府の力の権限が非常に強く、他の機関(①と③)はその決定に対して抗う力を有していないと考えれらています。

そしてこの②の中で最高権力を有しているポストと言うのが、「行政長官」職、となります。
中国返還後、香港の大衆は常にこの行政長官の選出方法に対して強い不満を抱えていました。

何故ならそれは、700万人居る香港居民が直接投票によってこの行政長官を選出するのではなく、その内のひと握り、数にして僅か1,200名からなる「選挙委員会」によって選ばれるという『間接制限選挙制』という方法を中国から押し付けられているからなのです。

しかもこの選挙委員会は”親中派”が大半を占めているので(同委員会を構成する1,200人の内、実に約1,000人が”親中派”と言われています)、現実的な話として香港人自身もこんなシステムの中で選挙を何度やろうが全く(民主的な選挙が)実行される見込みはない事を完全に理解しています。

では何故、今回、ここまでデモが大きくなったのでしょうか?

それは、行政長官の”立候補条件”として満たす事を必要とされている(選挙委員会からの)『150人』分の推薦枠と言うルールを、先般の全人代で中国によって一方的に”反故”にされてしまったからなのです。

今まで、(少なくともルール上では)選挙委員会の中の1,200人中、200人は居ると言われている民主派(つまり約1,000人は『親中派』となります)が、そのルールに則りさえすればその200人を使って150人分の推薦票を掻き集めることが可能でしたし、事実、候補者を立てることが出来ていました。

ところが今回の新しい決定と言うのは、この選挙委員会内の推薦数を何と”過半数(つまり600人の票)獲得しなくてはならない”と言うものに引き上げてしまったのです。

民主主義を肌で知る香港居民にとってこの中国の強引な決定は、自分達が従来持っていたとされる最低限の(公平に選挙に民主派候補を立候補させる、という)権利すら奪われたに等しいもの。

結果的にこれが引き金となり、史上最大規模のデモへと発展してしまいました。

今、彼らの胸に去来するこの忸怩たる思いは、我々外国人ですら想像するに難くはないではないでしょうか。

 - その他, 香港法人

↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓

にほんブログ村 海外生活ブログ 香港情報へにほんブログ村 経営ブログ 海外進出支援・海外支援へ

  関連記事

no image
香港における慈善機構の設立について

香港税務条例の第88条に基づき、公共性を有する慈善機構や信託団体は、税務局に別途 …

no image
海外で利用されている節税方法を国内法人に使用した場合

香港は場所柄、多くの国の方々が自国の課税負担との比較の中で節税を目的とした相談が …

no image
今年の雇用関連条例の変更点とは何なのか?

香港でも労働者の待遇については都度、ハイレベルなステージ(例:立法会等)で審議さ …

no image
香港法人の従業員解雇について

香港の雇用条例においては、従業員が次の事由に該当する場合、雇用主は雇用契約に基づ …

no image
【香港を撤退(香港法人を清算)する際の方法について】

香港法人の業績や役割が、当初計画していた目標(値)などを達成出来なかった場合、当 …

no image
香港も入るタックスヘイブン地域の特性(3)

前々回、そして前回の2回に渡り、 「タックスヘイブン」に関する情報の纏めを行って …

no image
今更聞けない香港のビジネス基礎事項⑨~香港での個人所得納税手続について

香港の場合は、日本の申告納税方式ではなく、納税者が申告を行った後に税務局(=IR …

seminar_nanami_img
海外法人設立+仮想通貨オンラインセミナー 8/21(火)開催

グラビアアイドルから株ドル、そして現在はビットコインクィーンとして仮想通貨を中心 …

no image
香港に於ける企業買収(M&A)の事例と法規制

世界3大国際金融センターのひとつとして尚も存在し続ける香港。この香港で企業買収案 …

no image
香港の『年金』= (強制積立金)とは?

弊社で毎月提供しているオンラインセミナーなどでも毎回のように触れるものの中には香 …