オフショア法人vs香港法人
日頃承る質問の中でも多いのが表題のマーケットの比較であり、今回は下に挙げるいくつかの項目についてその特性を纏めて見ましたのでご案内致します。(以下香港法人 (香)、オフショア法人 (オ)と表記)
会計監査 ・・・・・・・ (香)必要 / (オ) 不要
機密性 ・・・・・・・ (香)低い / (オ) 高い
会計帳簿作成・・・・・・ (香)必要 / (オ) 任意
会社秘書役任命・・・・・ (香)必要 / (オ) 不要
取締役会の開催・・・・・ (香)必要 / (オ) 任意
最低株主数・取締役数・・ (香) / (オ) 共に最低1名以上
以上の様に、オフショア法人は各種条件面において香港法人と直接比較しても多くの部分で「緩い」(=有利)ものであると言えます。
しかしながら、日本の税制、特にタックスヘイブン対策税制と言う視点などから見ると、その適用除外扱いとして設定されている各々の基準の多くを満たすには(立地的に)余りにも遠方にあり過ぎ、逆にこの面では香港に軍配が上がると言っても過言ではありません。
つまり両マーケットは、その使用する物差しによってメリット・デメリットが “一長一短” になると言う結論に落ち着きます。
こうした部分から見ても、法人設立をこれらの地域や国々で行う際に最も重要な点と言うのは、しっかりした設立目的とその使用用途に掛かって来ると言えるでしょう。単に”節税をする”とか、”特別な収益の受け皿にしたい”などという出発点から物事をスタートするのは、ある意味とてもリスキー(危険)な選択なのです。
また、こうした動きの前提が、”間違った解釈”によるものである場合、後々厄介な問題に発展することも考えられます。
よくある誤解のひとつとしては、単に日本の法人がそれらの地域や国の法人の株主にならないから(つまり、個人で勝手に設立をすると言う論法)と言う事で、日本の税金支払が免除されるのではないか?と期待される方々がいらっしゃいますが、これは残念ながら、全くの誤認・誤解であると言えます。
この部分における模範解答と言うのは、(日本人として日本国内に居住している以上)世界中で得る全ての所得は”税金支払いの対象”であり、税務当局に申告を行う前提となっていると言う事を今一度よく留意しておく必要があります。
↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓
関連記事
-
-
海外駐在期間が短縮された場合と延長になった場合の対応
駐在の期間変更と言うのは時と場合によって発生する可能性があります。例えば当初、一 …
-
-
香港で“強制力”を伴う法人への制度について
香港は世界でも自由港としてのスタンスを誇示していますが、そんな環境の中でもやはり …
-
-
香港はコモンロー(判例法主義)?それともシビルロー(制定法主義)?
世界における法体系には大きく区分けすると英米法系のコモンロー(Common La …
-
-
【 香港の労働基準 】
香港への(事業)進出形態は多岐に分かれておりますので特定は出来ませんが、こと実業 …
-
-
香港法人設立の際の質問(各種節税について)②
弊社に寄せられる問い合わせの中には”節税”と言う視点が頻繁にあります。日本の税制 …
-
-
海外法人設立時に良く聞く「ノミニー」とは一体何?
香港だけでなくBVI(英国領ヴァージン諸島)やサモア、セーシェル等の地域や国々に …
-
-
米国の法人税率引き下げがオフショア市場に与える影響
アメリカのトランプ大統領が自国の法人税率を20%まで引き下げと言う、大統領選キャ …
-
-
香港の製造子会社 タックスヘイブン対策税制対象外?
本日(12月6日)の日経新聞朝刊によると政府・与党はどうやら来年の税制改正大綱で …
-
-
オフショアセンター比較、香港かそれともシンガポールか?
海外進出にはそれぞれの目的があり、それらによって進出先国が変わるのは当たり前のこ …
-
-
香港に於けるM&Aの可能性を模索する-1
上場企業が定期的に発行を義務付けられている有価証券報告書を見て行くと、その中で「 …
