【 誤解?無理解?私募債とタックスヘイブン対策税制《事例紹介》 】
香港や中国、シンガポールなどで海外ビジネスを推進されている方々の中には『タックスヘイブン対策税制』の事への浅い理解の為からなのか、国際税務的な視点から見ると危険な形となってしまっているケースが散見される事が多くなって来ております。
そして今回、事例としてご紹介させて頂くのは『私募債』を取り扱ったケースです。
私募債というものは広く一般大衆を相手に公募を行う公募債とは異なり、一部特定の投資家を相手として出資を集う為の対象物(例:環境やプロジェクトなど)を絞って行うものです。
ひとつ申し上げられるのは、私募債を主催される方が、国際間、特に香港やシンガポールなどの軽課税地域・国の日本税制から見た立ち位置をしっかり把握された上でのものでない場合は、預け入れするお客様にとっては”非常に危険な選択”となり得る可能性がある事を良く理解しておくべきだと言うことです。
例えば日本居住者である方が、香港などに個人口座を所有していてそこから第三国に投資を行うような場合、(日本から見たら)運用で稼いだお金の動きそのものは、日本送金などを行わない限り、物理的には”圏外”となるので当局側には分かりません。
これは形としてアウト(出資する地域:香港)→アウト(運用する地域・国:第三国)→アウト(運用益を享受する地域:香港=運用益には非課税)というものなので、仕組み的にはこれで納得されてしまう投資家がいらっしゃったとしても不思議ではありませんね。
しかしながら、この仕組みに対するタックスヘイブン対策税制上の正式な回答はどうなのかと申しますと、完全に”×”です。
何故なら(このケースでは)そもそも投資家自身が日本に居住しているからであり、”全世界課税”を前提としている日本の税制においては、外国で稼いでいる運用益とて税務局への無申告は許されないからです。
つまり、こうしたスタイルでは税金逃れをする事自体が到底不可能な事なのだと言う事を、もう一度深く認識して置く必要があります。
↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓
関連記事
-
-
国際税務における2018年度税制改正大綱の改正項目
毎年12月中旬から後半の時期になると税制に関する定期的な変更事項、いわゆる「税制 …
-
-
【コーヒーブレイク】増えている?それとも減っている?日本の家計資産の状況について
その昔、バブル期などでは日本人の家計資産の額というのがおおよそ1,400兆円ある …
-
-
「居住判定」が重要となる国際課税との判断基準の肝とは?
香港やシンガポールと言ったタックスヘイブン地域(国)に住み始めると、所得の多くな …
-
-
<お知らせ>CCM香港ブログが統合しました。
CCM香港では、投資情報をお伝えするこちらのブログと香港の出来事やグルメなどお伝 …
-
-
2025年から設定される雇用主の「負荷」=MPF新規定が与える影響(1)
20年以上前の話になりますが、香港では当時まで(日本で言う)年金に相当する制度は …
-
-
色々と課題点が多い?『一帯一路』と『CEPA』の現状(2)
やはり現在の状況を多くの面から鑑みると、香港が“大変革“を迎えた年というのは英国 …
-
-
点在する海外子会社を「中間持株会社」下に置く際の課税とは?
一時、かなりの数の企業が税制上有利とされる香港やシンガポール等を前提に、それら以 …
-
-
香港の価値を多面的に考えるとどう言う『結論』へと至るのか?
ひと言で香港の『長所』は何か?と問われたとしたら貴方は一体どのように返答するでし …
-
-
1884年以来の天災(?)、香港の台風強度とその種類
香港の立地的な条件からすると、これは我が国同様、基本的には毎夏のこの時期において …
-
-
ある日突然、登用している香港の会計事務所が清算してしまったら・・・
昨今の経済状況はやはり芳しいものではありません。香港や中国進出をされている日系企 …
- PREV
- 【 香港に於ける課税対象所得の定義 】
- NEXT
- 【NHKで預金封鎖、財産税の特集が放送されました】
