1. TOP »
  2. 法人設立お役立ち情報 »
  3. 中国 »
  4. 中国一般

香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

中国 > 一般

日中で同時加入義務発生?中国の「社会保険」の強制力について

更新日:2017年08月14日

日本同様、中国にも日本と同様に「社会保険制度」なるものが存在しています。弊社に寄せられる質問の中にはこうした中国の国内制度に対して外国人である日本人(駐在員)が果たして加入する必要があるのかどうか?と言うものが過去において何度かございました。

それに対する回答をご案内させて頂くと、(今から遡ること約6年前の)2011年7月、この社会保険制度への強制加入が正式に中国国内で施行されることになりました。勿論、これは日本人だけを対象とした訳ではなく、中国で仕事を行う外国人全体に対してこの制度への加入義務が発生するようになった訳です。


ではこの社会保険制度の内容というのは一体どの様なものなのでしょうか?

この制度は(厳密に申し上げると)5項目の保険で構成されており、その5つと言うのは労災保険、医療保険、養老保険、失業保険、そして出産育児保険となっています。また、やや広義に解釈をするとこの5つにもうひとつ、住宅積立金制度と言うのも入ります。



ではその概要は如何なるものなのでしょうか?

1.加入対象となる外国人
→現地法人等や駐在事務所に勤務する外国国籍を持つ者

2.加入対象となる保険
→労災保険(中国では"公傷保険"と言います)、医療保険、養老保険、失業保険、出産育児保険(中国では"生育保険"と言います)

3.徴収の方法
→使用者または当事者(外国人本人)が納付

4.社会保険登記
→就業手続を行ってから30日以内に社会保険の登記を行うことで外国人社会保障番号が付与)

5.帰任時の取り扱い
→帰任時は本人選択が可能(留保して再度中国就業時に累計とするか、払戻しを行うかの選択。尚、本人死亡時は遺族の相続は可能)


この社会保険制度加入の義務化によって企業は純粋にどの程度のコスト像として見込んで置く必要があるのかを説明するものが以下となります。

・労災保険:会社0.5% / 個人なし
・医療保険:会社10% / 個人2%
・養老保険:会社20% / 個人8%
・失業保険:会社1% / 個人0.2%
・出産育児保険:会社0.8% / 個人なし

実に一人当たり、その費用は何と42.5%(!)にも昇ってしまう為、負担する側となる企業にとっては本当に馬鹿にならないコスト感となりますし(例えば月額報酬が1万元だとした場合、その42.5%に当たる4,250元を別途見積もって置かなくてはならないと言うものです※)、雇用そのものを熟考せざるを得なくなる感すらしてしまうような金額です。


では実際のところこの制度は中国全土に渡って厳格に執行されているものなのでしょうか?

中国はその余りにも広大な国であるが故、こうした社会制度と言うものは実は経済特区と指定されているような大都市や巨大生産拠点と目されるような地域や場所と言った、一部でのみの施行だけに"限定される"と言うのが実情です。結果、中国の中でも複数箇所に進出をしているような企業ではある拠点ではこの社会保険制度が施行され、また他の拠点では全くその保険料を納めていない等と言うことが発生したりします。

こうした点が"如何にも中国(!?)"と変な感心すら出てしまう向きもありますが、重点区域だけでも相当の数の駐在者から徴収されるこの保険料ですのでそれはそれで「徴収の意味」としては成り立つ向きもあるのかも知れません。

ご参考までにこの制度が早くから施行されている大都市と言うところは、上海、北京、大連、深セン、瀋陽、無錫、青島などが名を連ねております。

他人事などと言うスタンスでこの費用を軽視してしまったりすると、後で想わぬコスト増に苛まれる可能性もございますのでしっかりとこうした部分には注意を払って置く必要があるでしょう。

※但し、日本と同様、中国でもこの社会保険については標準報酬に上限があります。

▲ページのTOPへ

スマホサイトを表示