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香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

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現地採用日本人を現地法人で雇う際に留意しておくこと

更新日:2017年08月18日

例えばですが、今では中国などでも日本人を"現地採用"することは珍しいことではありません。
「現地採用社員」...、これは日本の本社が直接雇うのではなく、海外現地法人との契約によって雇用される社員のことを言います。

実際、上海などの大都市では5万人の日本人が、"駐在"やら"現地採用者"やらと言う形で滞在をされていますし、香港でも日本人の数はこの20年、おおよそ2万人前後いる中で沢山の現地採用者が滞在しています。ではそうした日本人(現地採用者)を会社側からの視点で見た場合、どのようなメリットやデメリット、あるいは留意しなくてはならないところがあるのでしょうか?

メリットとして挙げられる点の筆頭としては、先ず非常に質の高い人材を、日本国内では考えられないような低賃金で雇い入れることが可能と言うことがあります。例えば生産拠点が中国にある会社の場合、メーカー系に勤務されていた中高年の技術者などの需要は非常に高く、また同時に有難がられます。

何故ならばこうした人材はその技術力だけでなく、職業倫理(モラル)も日本の企業(本社)が期待する水準を維持しているケースが多く、場合によっては日本からの駐在員の能力すら越えるような者もいるからです。更に重要な点は、このような人材(特に中高年など)は、日本人独特も細やかな心遣いを完璧に理解している為、対外的な折衝時でもその能力を如何なく発揮することも出来る点も見逃せません。


ではデメリットという部分はどうなるでしょうか?

デメリットという点で挙げなくてはならないことは、こうした現地採用社員と言うのは、駐在員との待遇差が余りにも乖離していることに不満を持つ人間も居ると言うことです。特に給与水準は彼等にとっても"死活問題"の1つである為、パフォーマンスに対する報償を余りに過小評価することを行ってしまったりすると、恒常的な雇用不安を背景に持つ彼らにとってはその会社そのものに絶望し、結果、"その次"を考えてしまう可能性があります。

こうなるとその会社で得たノウハウや人脈を含めた商圏へのダメージが出て来ることも視野に入れなくてはならず、会社的には軽んじる訳には参りません。このように、同じ日本人だからといっても会社への「忠誠心」を国内から駐在派遣される方々のレベルで捉えてしまうと後で痛いしっぺ返しを被るケースがありますのでこの辺は注意しておく必要があります。

しかしながら、そうは言ってもこうした人材の雇用についての"変化"というのは実は雇用側から出て来始めているのも事実のようです。例えば、これまでは考えられなかったような福利厚生部分の負担(住宅手当の一部負担や所得税の全額或いは一部負担等)等、企業側から現地採用社員に対してある一定の"譲歩"を行うような場合や、また優秀な現地採用社員には正社員として本社側で再雇用の機会を与えるなど、徐々にではありますが、本社採用の駐在員と現地法人採用の現地採用社員間の待遇差が少しずつ縮まり始めているところもチラホラと聞かれるようになって来ました。


何れにしても日本人を現地採用するに当たって企業側が留意するべきことというのは、以下のことを念頭とされておくべきでしょう。

①   単に雇用上のコスト面だけでなく、契約全体について会社のコンプライアンスに抵触しないよう十分に検討する。
②   現地法人では十分な育成ができないケースがある場合は、本社研修などを確りと準備して万全のフォローアップを図る努力を行うこと。
③   (中国ならば)他の中国人スタッフとのバランスを常に注意する。また個人情報(例:給与)などの漏洩には十分なセキュリティーを設けておく。
④   日本人現地採用社員は少数派となる為、孤立しないよう配慮を行う。
⑤   定期的な業績の評価を行い、私見と見られかねない判断は行わないこと。また報償は事前に徹底周知し、その通りに実施すること。


勿論、上記以外にもまだまだ検討配慮する点はありますが、逆に言うと、これらを押えることで自分達の仕事に多くを齎らす存在でもある現地採用社員、これこそまさに企業の人事の腕の見せ所が発揮される点です。

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