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クロスボーダー型機械設備貸与に関する国際税務とは?

更新日:2017年09月11日

海外に製造子会社を作ることで、より効率的なコストコントロールの実現を目指す企業は昨今でも相当数が存在しています。一時期沸騰していた"中国進出熱"と言うものは、残念なことにやや冷めてしまった感はありますが、これを東南アジアを含めたインド圏まで拡げた場合は依然として巨大経済圏であり、進出ケースは"後を絶たない"と言っても過言ではありません。


では実際に進出準備の段階に入って来ると、進出規模などの策定は勿論のこと、様々な部分での準備や検討は不可欠なこととなる訳ですが、そんな中でも製造拠点として進出する際は一体どうなるものなのでしょうか?

実際の話としては<製造拠点=工場>である為、先ず検討の土俵に上がるアジェンダ(議題)は果たして"製造ラインをどうするのか?"と言うことです。製造ラインにある機械装置は、言わば"有形資産の集合体"とも言える存在です。

これらを用意するのには、(仮に海外などで新しく購入するプランを持たない企業などの場合)必然的に日本国内に所有(して稼働させている)している関連機械設備をこうした海外拠点に「貸与する」と言うのが現実的なオプションとなるでしょう。


ではこうしたクロスボーダー間での機械設備貸与に関係した取引についてはどのような注意が必要なのでしょうか?

海外子会社(海外製造拠点)に対して設備を貸与した場合に先ず起こることと言うのは、貸与した側(国内本社)が貸与された側(海外製造拠点)に対して何らかの「使用料」を請求すると言うところです。中には「無償貸与」と言うものもあるにはありますが、一時の中国の来料加工全盛時代ならいざ知らず、一般的にはこの使用料の支払いが両者間で起こるのが普通です。そしてこの段で税務上で重要と捉えられる点と言うものは、この「使用料」が、あくまで適正な範囲内に収まるものであるかどうかと言うことです。

換言致しますと、独立した第三者(外部取引先など)に対して同様の貸与をした際に成立するであろう価格を登用することが、(いくつかの情状酌量のケースを除いて)査定上は重要とされるのです。逆にこの部分を押さえないで見切り発車などしてしまうと後で税務署から移転価格という判断をされ兼ねません。

実際のところ、この"適正な使用料"と言うものは、幾つかの面を視野に入れた上で算出しなくてはなりません。何故ならこうした機械装置等には、多くのケースに於いて何らかの"特殊性"が内包されているが故、汎用性と言う点では"乏しい"と言わざるを得ず、結果、一般的には本社に於けるその設備の取得価額(維持管理費や修繕費、保険料など含む)や残存簿価などを基に計算するのが常です。

同時に、(日本サイドで使用していた)機械設備の貸与となると言うことは、それが中古機械である場合の可能性が高く、一般的にはその設備の残存簿価(取得価額から限界償却費を引いた金額)を基として、それに第三者取引などで採用されている適正利潤を載せた額とされています。

また取引の前提として、例えば海外製造拠点の子会社が製造した製品を全量で日本の本社が仕入れる(=買い取る)ような場合、海外製造拠点側とするとこれで親会社から貸与された製造設備の「使用料」を支払うとなると、当然その分だけ製造コストが上昇することになってしまいます。このように製造委託先に対して製造設備等を貸与している場合には、設備の「使用料」と製品仕入れ価格とが裏表の関係にあると言うことから、特別に独自の取引として認定される可能性があります。

しかしながら、上記の特別ケースであったとしても、これは適正な原価計算をベースとしていなくては認められませんので、社内の経理担当者などは常に具体的な数字でそれらが説明できるように備えておかなくてはなりません。


最後に、海外製造拠点である海外子会社への「使用料」の支払いの際は源泉徴収が必要になるケースがあると言うことも頭に入れて置く必要があるでしょう。日中租税条約では日本とのやり取りの際、源泉徴収は10%とされていますので該当分を予め差し引いた上で対応しなくてはなりません。

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