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YouTuberの収入は課税視点からだとどう取られるのか?

更新日:2018年01月29日

Wikipediaによれば、2005年にYouTubeが開設されて今年で13年目を迎えることになったとこのとです。YouTubeは開設後から1年経った2006年にはかなり評判となり、2011年に収益化プログラムが一般公開されることでYouTuberが現れたとされています。現在、YouTuberの中には年数億円を稼ぐ者も現れるなど、一大産業化している面があり彼等の所得については、新しい形態による収入であり、課税関係に関して必ずしもの十分な理解が進んでいない問題があるようです。


◆投稿サイトに係る収入と日本の税金について
(1)投稿サイトに係るサーバが恒久的施設として認定される可能性
投稿サイトには様々な形態があり、恒久的施設に関しては本来的にはそれぞれの投稿サイトと投稿者との契約内容により判断すべきものですが、
①投稿サイトのサーバが日本国内にある
②サイトへの投稿は原則自由である(法令違反や公序良俗違反についてはサイト運営者による削除が行われるが、それ以外の投稿はサイトの管理者は内容を関知しない)
③投稿サイトの閲覧は基本的に無料かつ自由
④投稿者の収入は閲覧数に応じた広告掲載料であることを前提として以下検討します


イ)サイトへ投稿は、サーバの貸借に当たる。
サイトへの投稿については、著作物の賃借(使用)とサーバの貸借との考えが生じます。例えば、映画のテレビ放映の場合には、放映するテレビ会社が映画を選び使用料を支払ったうえで放映します。このため、映画のテレビ放映の場合には、著作権の使用料として日本で課税が行われます。

他方、閲覧サイトの場合には、原則としてサイト運営者には投稿された著作物について掲載するかしないかの選択権は与えられていません。このため、著作物の賃貸又は使用に係る契約とは認められず、サイト運営者は自らが保有するサーバの一部分を投稿者に貸していると考えることが相当となります。


ロ)インターネット回線を利用した事業に係る恒久的施設の場合
インターネット回線を利用した事業に係る恒久的施設の場所は、その事業に係るサーバの所在地と考えられています。例えば、日本向けのエロサイトでは香港にサーバを置き(当該サーバが自社所有であるか賃貸であるかは問いません。)日本の租税を回避しているケースがありますが、これは合法です(消費税法の改正により、消費税納税義務が課されていますが)。


ハ)投稿サイトの投稿者の恒久的施設と所得税または法人税の納税義務について
非居住者が投稿サイトに投稿して収入を得た場合、前述のとおりサーバを借りていると考えられ、当該サーバの所在地が事業を行う一定の場所に該当するため、サーバの所在場所が恒久的施設に該当すると考えられます。このためサーバが日本国内にある場合には、非居住者は、当該投稿に係る収入について日本の法人税又は所得税を納付する義務が生じることになります。


ニ)所得金額の計算について
日本の税金の対象となる所得は、ほかに恒久的施設や国内源泉所得がない場合には日本に所在するサーバを通じて得た収入から当該収入を得るために支出した経費を控除した金額となります。この経費は、必ずしも日本国内で発生したものに限らず、その収入を得るために支出したことが明らかであれば、国外で支出したものも含まれます。ただ、説明責任は(納税者有利となりますので)納税者が負担することになります。


ホ)消費税について
消費税については、日本にあるサーバを通じて得た収入については課税の対象となると考えられます。この場合、課税売上に係る消費税額から控除できる仕入控除の対象は、当然のことながら日本国内において課税仕入れとされるもののみで、国外での経費については仕入控除の対象とはなりません。


また、投稿サイトのサーバが国外にある場合には、日本の居住者向け(内国法人を含みます。)に係る収入について消費税を納税する義務が生じることになると考えられます。

なお、投稿サイト以外のインターネットを利用した取引については、日本国外にあるサーバを通じて、書籍、音楽、ソフト等の無形資産の譲渡又はサービスを日本国内向けに行った場合には、個人向けに関しては、その譲渡又は提供を行う非居住者または外国法人が消費税の納税義務を負い、事業者向けの場合には、無形資産の譲渡又はサービスを受けた国内の事業者が当該取引に係る消費税の納税義務を負う(ただし、納付した消費税については輸入に係る消費税と同様に、仕入控除の対象となります。)こととされています。


◆留意点
インターネットを通じた取引が拡大する中で、これまでにないビジネススキームが生じています。例えば、今回の投稿サイトに係る収入は、昔であれば投稿サイト利用者からの料金を投稿者に支払うといったものでしたが、投稿自体が広告媒体として機能しており、従来にはない無形資産の利用者と料金の支払者が異なるケースが生じています。

投稿サイトへの広告費を提供する企業が、その利用者と同じである場合には、上記のような対応で十分ですが、外国人旅行者向けのサイトでは、広告主は日本の企業であり、国外あるサーバで非居住者が事業を行っている場合には、現行の制度では課税できないケースが生じてくることになります。

OECDではこのような取引についても注視することとしており、インターネット取引に係る国際課税の取扱いは今後とも改正変更が行われるものと見られています。

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