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海外子会社の株式を評価減することとは?

更新日:2018年03月12日

子会社が"赤字"と言うことは事業的には痛いと言う面があるのは事実ですが、視点を変えて本社を含めた全体から見て行くと必ずしも悪いことばかりではありません。特に本社が儲かっている場合などは子会社の"損失"を親会社が取込むことで国内の課税対象額を圧縮出来る可能性があるからです。

赤字が続くと言うことは、その子会社そのものの株価にも大きな影響を与えると言うのは言わずもがなですが、国内税制下では具体的にどのような状況下になるとその評価損の計上が認められるようになるのでしょうか?


親会社が海外子会社の評価損の計上を満たす為には、少なくとも以下の2つの要件を充足して置かなくてはなりません。

1)発行法人(=海外子会社)の資産状態の著しい低下
2)(海外子会社株式の)価値の著しい低下

上記に於いて1)の発行法人の資産状態の著しい低下については、基本的に期末時点の1株当たりの純資産価額を取得時の1株当たりの純資産価額とを比較し、半値以上下落しているかどうかにより判断を行います。つまり、これは純資産対純資産の比較であり、海外法人の場合のこの比較は基本的にその法人が所在する国の通貨=外貨がベースとなって行われる事になります。

一方で2)の価値の著しい低下については、期末時における時価が(株式の)帳簿価額の概ね50%相当額を下回ることとなり、且つ、近い将来その時価の回復が見込まれない状態のこととされています。


税務上では、上場株式については「上場有価証券の評価損に関するQ&A」と言う基準が形式的には存在していますが、これが非上場の株式となるとこうした基準はそもそも存在せず、時価の回復可能性を実質的に自己判断して行かなくてはなりません。その意味に於いては非上場の子会社株式についての税務上の評価損を計上すると言うことは、客観的な指標が存在し難い為上場株式のそれよりかなりハードルが高いものとされると理解して置くべきでしょう。

また、これに加えて海外子会社株式については一般的に企業支配株式等(親会社による20%以上保有が要件)に該当し、その時価を考えるにあたっては、企業支配に係る対価(プレミアム)を加算する必要があるため、通常の国内非上場株式よりも更に評価損の計上が困難になると言う側面も存在します。

以上、海外子会社株式の評価損の計上と言うものは、概念的な構造は兎も角、実際にそれを適用させる為には相応の準備を行ったとしてもかなり困難な作業であり、結果として日本の親会社で損金算入が出来ないケースが多くなると言うのが実状のようです。

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