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どうしたところがポイント?平成最後の税制改正大綱

更新日:2019年01月16日

自民党による平成31年度の税制改正大綱が昨年の12月14日に発表されました。この段階ではまだ改正案に留まる形であるので(税制改正案は国会での審議を経て、議決を得た形で初めて改正となる為)厳密に言うと最終的な改正項目には多少の変化がある可能性を残していますが、例年の結果から想定して行くにその案が可決されるのは100%となると言っても強ち間違いでは無いことでしょう。

では、この税制改正大綱の中で香港に関係するのはどの箇所なのかと言えば、それは言わずもがなではありますが国際税務と言うフィールドとなって参ります。本稿ではその改正のポイントについて、以下ご案内させて頂きます。


1国際税務関係の改正について
(1)項目と概要
◼️過大支払利子税制の見直し
過大支払利子税制は、これまで「過少資本税制」と称されてきたものです。

例えばAppleやGoogleと言った海外の外国法人が日本に進出し、日本の子会社が必要となる資金について、出資の他に借入金とすることを行なったりすると、出資の場合には、利益の配当を経費算入できない一方、関係会社(外国に在する親会社)からの貸付金とした場合には、支払利息を経費算入出来ることになりますので、日本の国内所得に差が生じることとなります。

このため、親会社である外国法人にしてみますと比較的法人税率が高い日本子会社について出資よりも関係会社からの借入金とする誘因が生じることとなるのは当然のことです。このため過小資本税制を設けて、日本子会社の出資額を基準値とし、その3倍を超える借入金の利子の経費算入を認めないとしています。

今回の改正では、こうしたグローバルに展開する外国企業グループ内の資金取引に着目し、日本子会社が、他の外国関係会社への貸付金と他の外国関係会社からの借入金がある場合、経費算入できない支払利子の額に関して受取利子の額を考慮することとされました。よってこの改正に伴い、本制度に対象となる利子の額、経費算入できない利子の額の計算等の改正が行われています。

また、本制度の適用は、平成31年4月1日以後に開始する事業年度からの適用導入を予定しています。


◼️移転価格税制
移転価格税制では、無形資産の譲渡貸付け関する整備と更正機関等の延長などの改正が予定されています。

まず、無形資産関係ですが、無形資産の範囲の明確化、譲渡又は貸付け等における独立企業間価格の算定の整備、評価困難な無形資産取引に係る価格調整措置の導入が盛り込まれています。

このうち、重要なポイントは、無形資産の譲渡又は貸付け等における独立企業間価格の算定方法にDCF法を加えることとされた点です。DCF法の採用に関しては、元々これ自体が将来の収益見込みを前提として独立企業間価格を算定するものであり、予測と実績とが相違するケースも少なくないなどのネガティブな意見も存在しているのは事実です。

よって(このような指摘を受けてなのか)価格調整措置が導入されており、上記のように将来の収益見通しと結果が異なる場合、多少の制約があるにせよ、国税側主体による課税処分を可能とすることとなっています。

(尚、移転価格の枠組みの中のひとつである工業所有権の使用料については、通常その工業所有権を利用した製品の売上金額等を基礎として算定されることになりますので、その料率が適正であると言う前提であれば、今後とも移転価格税税制上の問題は生じないことになります。)

なお、移転価格税制の更正期間の延長の主たる理由と言うのは、移転価格税制に係る調査の困難性を反映したものと考えられている為、その処置を反映したところと言った所でしょう。


この改正は、平成32年4月1日以後解する事業年度からの適用が予定されています。

タックスヘイブンに関する変更点については次回にご案内します。

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