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香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

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BVIの法改正から見えて来るオフショア法人維持の為の備え

更新日:2019年06月20日

■BVI法規制の変更と背景
単刀直入に表現すると、「タックスヘイブン」と言う概念が生まれ、そして実際に運営されている地域(国)と言うのは他の国々との国際競争において何らアドバンテージを持てないところであり、この税制を導入することと言うのは言わば捨て身の手段、或いは"最終兵器"であると形容しても良いかも知れません。

実際のところ、今ではタックスヘイブンの"代表格"となってしまった感のあるイギリス領ヴァージン諸島(BVI)と言う場所を例えとして取って見ても、外観上では周囲が海で囲まれているだけのただ"単なる"島でしかない訳ですが、2016年に発覚した世界的なスキャンダル「パナマ文書」によって世界中の富を集約する目的で設立される法人が(ここを筆頭とした)タックスヘイブン国々に集まっていたのが分かってしまった後は、その注目の数と軽蔑・嫉妬の交じった圧力と言うものが尋常ではなくなってしまうことになりました。

これが実質的なトリガー(引き金)となり、世界的な課税適正化の動きが加速したことは記憶に新しいところです。順を追って見て参りますと、先ず2017年12月には、欧州共同体(EU)が租税に関する「EUブラックリスト」を公表しました。

その中でBVIなどのタックスヘイブン国が、経済実態を反映しない利益の移転を促進しているとしてグレーリストとして挙げられ、翌2018年末までに公平な税制に改善するための具体的な行動をとることを迫られました。結果、BVIはその圧力を受ける形で2018年12月に「経済実態法」を成立、2019年から施行されています。

この法律では、特定の事業を行う法人(ファンド運用、ファイナンス、本社機能、持株会社など)は、仮に税務上の居住地がBVIであるならば経済的な実態を備えていなくてはならないというものです(尚、その経済実態の要件を満たすこと、及びその報告義務の期限は2019年6月末とされているとのことです)。


■日本へのインパクト
それではこの経済実態を備えることについて、日本人や日本の法人に対してどのようなインパクト(影響)があるのでしょうか?日本に居住している個人や法人がBVIに法人を設立し、その事業実態がないと言う場合は、これは当然のことながら日本のタックスヘイブン対策税制の対象下にあります。つまり、BVIに事業所や従業員などをおいて事業を行っていない場合、税務上の居住地が日本であると同様に日本で課税されることとなってしまうのです。

一方、香港に移住して、BVI法人を利用して資産運用を行っている場合はどうでしょうか。換言すると経済実態自体は香港にあったとしても、個人ではキャピタルゲインや配当収入がそもそも非課税であるため、実態がBVIでも香港でも税務上の取り扱いは変わらないことになります。

しかしながら、BVI法人が香港居住法人であると確定した場合は香港にて税務申告する必要が生じる可能性が出て参ります。その場合、法人課税となるため今までは無条件で非課税となっていたキャピタルゲインなどが事業収入として課税対象となる可能性があるので注意が必要です。むしろこうしたケースの場合には、個人での資産運用に変更するなどの対策をとった方が得策と言えるかも知れません。


■今後の法改正の動きについて
今回の法規制の改正については、一旦大まかな方向性こそ示されたものの、現時点では具体的な手続詳細等については発表を待っていると言った状況です。従って、制度改正を注視しておく必要があります。

また、EUの2019年3月の会合で、BVIは経済的実態の要請については協力的かつ積極的と評価されたものの、未だグレーリストに入ったままとなっており、2019年末までに経済実態に関連するEUの懸念に対して対応を行うことが求められています。そのため更なる規制の強化がされる可能性もあると考えられるでしょう。


■将来的な対策
ひと言で言うと、今後のBVIの法改正については継続的にモニタリングする必要があると言えます。特に法令違反の場合にペナルティーとしての罰金などが科される可能性が多分に含まれておりますので、常に情報を取れる体制にしておく(設立業者等を通じて)ことが必要です。

また、日本の個人と法人へのインパクトの欄で説明した通り、状況によっては思わぬ影響がある可能性を内包しているとも言える為、BVIでの法改正等を待たずして、恒常的な課税関係の見直し及び伴う自社スキームの変更の可能性を検討しておくことが肝要です。

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