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逃亡犯条例と国際金融センター 〜香港は何処に行くのか?-2

更新日:2019年06月28日

何とも消化不良的な現状の結果ではありますが、政府側、市民側双方にとって一先ずの妥協点で事態はストップしたことは(最悪のシナリオを想像すると)喜ばしいことであったのかも知れません。香港域内だけでなく、中国そして海外からも高い関心を持ってその推移を見守られていた今回の「逃亡犯条例」を巡る騒動ですが、国際金融センターを標榜する香港にとっては(例えそれが一時的なものであったとしても)、著しいイメージダウンとなって多くの方々の目に映ってしまったことでしょう。


今回は前回からの続きと言うことになりますが、もう一度前稿の最後に挙げた事例をご案内することから幾つかの論点を見て行くことにします。


1.税率を筆頭とした税制度
香港における法人税率は基本的に16.5%ですが、「逃亡犯条例」可決した場合にここに変化が訪れる可能性はあるでしょうか?恐らく短中期的にはこの部分に政府当局が修正を加えることは無いと見る向きは多いです。理由は(香港が)中国における外貨取引で大きな影響力(実績、経験)を依然として持っているからであり、中国国内にそれを醸成するにはまだまだ時間が掛かるという面もあります。

また、シンガポール等との兼ね合いを考えても、税率を中国国内の水準まで上げようものなら(外資系の企業を筆頭として)香港での操業を諦め、ライバルのシンガポール等に移転(或いは主要部隊を移転)することに拍車が掛かる可能性を助長するのは明らかであり、香港(及び中国)が、自爆的にそれを導入する意味合いは非常に薄いと言わざるを得ません。しかしながら、長期視点とした場合はその限りではない可能性が大きくなるでしょう。


2.外資系の離脱&投資対象先の変更
上記1に連動する、しない、に関わらず、既に一部の企業は香港をアジアの"軸足"として置かない取組みを始めているところもあります。その理由は多面的にはなりますが、幾つかに集約するとa.香港のコスト高、b.香港の中国化、c.激しい競争による産業の飽和化、d.他国に似通った機能を持つマーケットの出現、e.会社の海外ポリシーの変更、と言うことなどがその要因の殆どとなります。

今回の「逃亡犯条例」だけでなく、今後も中国や香港政府がその扱い方を間違えると今回以上の状況すらあり得ることが想定される為、安定した市場環境を確保したいと願う企業体にとってはご免被りたいと言うのが本音なのではないでしょうか。


3.個人資産の海外移転
一部のシンクタンクや銀行或いは弁護士事務所によると、既に雨傘運動前後から香港の富裕な実業家が中国への懸念を強めており、密かに自身の個人資産を海外(特に香港の場合はシンガポール)に移す動きが始まっているとの事です。

そしてそう言った状況下であった市場環境で、この「逃亡犯条例」が導入されてしまうと国際金融センターの根幹を支える法律を脅かすことにもつながる為、致命的なインパクトになるやも知れないリスクを抱え込んでいました。しかしながら、これはあくまでも現行までの視点(西洋から見た視点)である為、中国からのものはかなり違うものとなることも併せて記述して置きます。


4.大彎区、及び一帯一路
香港は高速鉄道や澳門、珠海、香港を結ぶ大橋を顕著な例として、将来的な産業発展の『鍵』を対中ビジネスと置いているのは明らかです。

事実、昨年の11月と今年の4月の2回に渡り香港特別行政区行政長官であるキャリー・ラム氏は日本を訪れ上記のプロジェクトに関する香港のコミットメントを紹介して廻ったほどであり、この行動ひとつ取ってもその意気込みの程は極めて真剣であることが分かろうものです。

従ってこの条例が可決された場合は益々、香港の「中国化」が促進されることとなり、逆に香港そのものの地位が今迄以上、中国国内では高くなると言う可能性はあります。

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