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香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

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香港法人が要求される法定会計監査とその必要書類と税務条例規定の保存義務について

更新日:2019年09月17日

香港の法定会計監査報告書は法人税申告の際に税務当局が詳細を分析する「重要書類」のひとつと位置付けられています。当該社のビジネス詳細を、書類のみで判断するプロセスとなりますので、必然的に要求される書類はそれなりの種類や分量を求められることになります。具体的には以下のようなものを会計士事務所に提出して監査して貰うことになりますのでどうぞご参考ください。

・銀行取引明細一式または通帳
・請求書、伝票そのほか関係書類(インボイス、経費領収書等)
・総勘定元帳、貸借対照表、損益計算書、固定資産台帳、決算への注記事項
・物品販売にかかる納品書
・物品購入にかかる請求書
・(買付業務の場合は)売買リスト
・オフィス、工場、社宅、倉庫等(新規契約及び更新分を含む)
・銀行融資書面及びその他融資契約書
・最新の会社組織図及びその他情報
・その他署名済みの契約書(分割払い契約書、住宅ローン等)
・その他

a.雇用主支払報酬報告書
b.強制退職金制度(MPF)明細
c.運転免許証
d.ローン返済のスケジュール
e.不動産売買契約書

なお、仮にその香港法人が中国に投資を行っている場合は以下の関連書類が必要になって参ります。

a.許認可証明書ならびに関連文書
b.営業許可証
c.資本金検資報告書
d.会社定款
e.JV(ジョイントベンチャー)契約書
f.監査済み決算書
(尚、中国またはその他地域で比較的に規模の大きな投資を行っている場合は上記の書類提出に加えて監査法人による投資先での実地監査も必要となります)

次にこうして作成した法定会計監査報告書の保存期間及び条件はどのような内容となっているのでしょうか?

香港税務条例(Inland Revenue Ordinance)では、課税所得を直ちに確認・査定出来るよう全ての企業に対して英語(或いは中国語)での業務記録管理義務を規定しています。業務記録については過去7年分の保存義務があり、香港の企業は例外なくそれに従わなくてなりません。

有限会社の場合、取締役は業務記録の管理義務を負うほか、企業の正確な財務状況・業績の開示や取組み状況の説明の為に、正確な帳簿管理を行うように要請されます。

従って企業の取引を記録する全ての書類または(紙ベース或いはPC上の)会計システムで各取引を遡及的に確認する為に必要となる関連書類、すなわちインボイスであったり、領収書、或いはレジテープ、銀行ステートメント、小切手帳等の振出記録の控えなどが全ての保管対象物となっているのです。

また、(以前にも当Blogでご案内しました)SCR=重要管理人登録(Significant Controllers Register)の具備が2018年3月から施行されました。このSCRは企業の状況をつぶさに見ることが出来る代表者(窓口)と当局とのホットラインも敷くことで、香港が国際金融センターとして推進していた"市場透明性"の一層の確保を後押しするなど、その整備については余念がありません。

このように健全性維持の為の要求事項は企業に負担を掛ける形にはなりますが、同時にそのスタイルの維持こそ、他のアジア諸国には無いコミットメントと言えることなのです。

以上、今回は中々詳細に触れることのない香港における法定会計監査の為に必要な書類と報告書の保存期間及び周辺整備に関する内容をご紹介致しました。

このように、会計や税務に力点を置ける体制作りを何十年にも渡って磨いて来たこの香港の一面を知ることでも、ここがアジア随一の大都市であることが分かるのではないでしょうか。

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