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国税庁が推進する「推定課税」とその対策(対タックスヘイブン税制)?

更新日:2019年11月11日

企業にとってどうしても避けて通れない"儀式"と言うもののひとつは「納税」と言っても過言ではありません。そもそも"企業体"と言うものは、「利益」を出すことを念頭とするのが宿命であり、経営者は自分の会社が次第に利益を出せるようになって来るとそれに伴って税金対策を講じて行くようになって行きます。

勿論、これには様々な形態がある訳ですが、国内でのみ営業を展開しているような企業はシンプルに国内税法に則って税額が弾き出されることとなり、算出された税額をその年度の期限までに納税して行くことになります。ところが一方で海外進出を行なっているような企業は、時に進出先国と日本との間に存在する"差"を利用することで納税額全体の軽減を図ろうと試みるところも存在します。


例えば香港やシンガポール、或いはイギリスと言った軽課税をベースとしているオフショア地域国に進出を遂げているような企業は国税庁が掲げている合算課税の非対称条件を満たすことによって合法的に税額軽減を行うことは現実的に可能ですし、実際に多くの海外進出企業はその為のプランを作るなどして対策を設け、その恩恵に授かっていたりします。


昨年の4月1日から始まった事業年度より、香港やシンガポールと言う軽課税地域・国へ進出している企業を対象としてタックスヘイブン税制に対する非課税対象条件を証明する関係書類の準備が国税庁より要求されることが明らかになりました。

これは、税務署が捉える軽課税地域・国の特徴として挙げられる典型的な進出パターン、所謂、事業実態を全く伴わないケース(=ペーパーカンパニー形態)がこうした地域・国には多々存在しており、この架空法人をひとつの"抜け道"として利用することで、(本来なら課税の対象と考えられる)海外子会社所得を日本の高い税率から回避させるという企業の行き過ぎた行為を是正させるのが目的とされています。


しかしながら、この「タックスヘイブン税制」そのものと言うのはもう何年も前から導入されているものである為、一見この表題については"真新しさ"と言うものは感じられないとも言えなくは無いのですが、今回の改正が持ち込むことになった"大きな違い"と言うのが、従来には無かった深刻度を伴っていることが後々になって分かって来たのです。


一例を挙げると、他の国際税務の重要項目ひとつである移転価格税制等と同様に、このタックスヘイブン税制についても事業実態などを対外的に証明する関係書類の準備と報告書の提出が義務付けられたと言う点があり、それも、一定の時間枠を越えてそれらの提出が滞ってしまうような場合は務署判断で『推定課税』を行うと言う、言わば強権付きのものに強化されてしまうものとなったからです。

当然、企業の中にはこれを不服とする場合が想定されることになりますので、訴訟合戦を国相手に行うと言うことも、今後このシナリオからは現実的な事例として出て来ることになるでしょう。つまり、換言するとこの扱いと言うのはまさに"肉を切らして骨を断つ'的な発想を根幹に置いているのは明らかであり、それだけに国税庁側の真剣度が伝わって来るような税制改正であったと言えるかも知れません。


では実際に企業側はどのような書類を準備して置く必要があるのでしょうか?

先ず想定される書類の代表格と言うのは会社登記に関係する書類一式となります。そこには株主の名前であったり、事務所の所在地、商業登録証、また任命された会社秘書役の所在地やコンタクト先、更に重要支配人の名前、更に従業員への退職金制度加入を証明する証書と言う基本情報の提供は必須事項です。

更にこれらに加えて会社の決算書、監査報告書、インボイス類及びレシート類のオリジナル(或いは写し)、納税証明書の写し、果てはメールでの本社とのやり取りの記録(特に本社指示が現地法人の独立性を消してしまうようなやり取りや業務上の依頼事項に関する2社間の契約書の有無等には細心の注意が必要)と言ったところでしょう。またこれらに加えて税務局側が要求するような定期フォーマットへの報告書作成なども絡んで来る可能性は否定出来ません。


具体的な事例が出て来るのは今年の決算締め以降が濃厚とされる為、来年の3月末以降にこのような論点からの"摘発"事例が新聞紙面などを飾ることが想定されます。まだ対策を建てられていない企業様はこう言う部分へのプランを今から検討されておくべきでしょう。

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