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やはり価値があるのか?香港と言う市場に投資する中国企業の本音

更新日:2019年11月29日

中国が外資の誘致を通じた経済発展を目指す方針に転じて以来、香港は外国企業が中国に進出する際の拠点としての役割を果たしてきました。同時に、香港は中国にとって対外直接投資の最大の投資先であるのは明らかであり、デモ発生前の直接投資額にしても中国から香港への直接投資は60%を超えています。

例えば2016年の対外M&Aのうち、①青島ハイアールの米ゼネラル・エレクトリック(GE)家電事業買収(買収額55.8億ドル)、②テンセントなどによるフィンランドのゲーム会社買収(同41億ドル)、③長江三峡集団のブラジル水力発電事業買収(同37.7億ドル)は香港経由で実施されたと言うのはまだ記憶に新しいところでしょう。


また、上記のM&Aだけでなく香港に事業拠点を設立する中国企業の数も増加傾向中であるるのは明らかです。香港政府の調査によると、中国本土の企業が香港に設立した事業拠点の数は2019年10月28日の香港政府発表によると1,799社であり、昨年(2018年度/1,591社)から引続き2年連続トップを維持することとなりました(尚、第2位は日本で1,413社、第3位が米国の1,344社と続いています)。


このように、中国企業が香港を活用するのは海外進出をする為の豊富な知識や経験を有していると言うことは当然の理由として、それ以外の動機と言うのは香港が持つ資金調達機能が挙げられます。事実、香港証券取引所で上場する中国企業の数は既に上場企業全体の50%以上を占めており、これを利用することで中国企業は香港市場での新規株式公開や増資と言った手法で多くの資金を調達して来ているのです。


更に加えて香港では調達した資金を海外に投資する際の資本移動の自由が確保されていることも大きい点であると言えるでしょう。何故ならば、中国国内のルールと言うのは基本的に資本流出を抑制するため資本規制を強化していると言うのが現状でもあるからです。他方、香港では「一国二制度」の下でこの資本移動については完全に自由であり、従って、例え中国企業であったとしても香港で調達した資金があった場合はそれを海外投資することについては中国国内からの制限が強要されないと言うメリットが出て来ます。


また香港が2016年に導入した財務統括拠点(Corporate Treasury Centre)と言う制度も中国企業の香港進出を後押ししている面であると言えます。これは、外国企業や中国企業が香港に一定条件を満たす財務拠点を設置した場合に享受できる税制優遇であり、

①海外関係会社からの借入金に対する支払利息の損金算入を認める、
②金融財務活動から発生する課税所得(海外関係会社への貸付金からの受取利息など)を対象に法人税率を通常の16.5%から8.25%に軽減する、

と言う点が肝の部分となっています。

勿論、このCTCの税制優遇の対象は中国企業だけではありませんが、昨今の中国企業の海外進出が加速するなかでは、このような制度を導入した香港に対して中国企業が以前として熱い視線を送っていると言うのは実績が証明していると言っても過言ではありません。


これらに加えて香港自身も従来から中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」に対して積極的に関与しているのは明らかであり、広東省を中心とした大湾区での香港の役割も決して弱体化しておりません。むしろこのような超大型プロジェクトについてもその推進の為に中国企業等との協力の度合いが益々強まっていると言えます。


以上、こうした様々な点を鑑みると香港市場と中国企業は言わば"相思相愛"的な関係であるのは明白であり、政治色だけが強調されてしまう昨今の一面とは"一線を画している"ものと形容しても決して言い過ぎではないでしょう。

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