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法人としての義務を問われる香港の"社会的な制度"とは?

更新日:2019年11月15日

香港にも日本同様、労働者に対する法律と言うものは存在しています。所謂、労働基準法にあたるものがEmployee Compensation Ordinanceと言う雇用条例の中で綴られており、ここには先ず賃金に対する定義であったり、法定休日、年次有給休暇、疾病の際の手当て、出産休暇、更には長期勤続手当や解雇手当等々・・・、雇用発生時からその最後までの基本的項目が網羅されています。尚、この雇用条例上では同一雇用主のもとで一週間に18時間以上の労働が4週間以上続いている方を「従業員」と定義しています。


次に人事上、とても重要となる「雇用契約書」についてご案内します。香港では通常、雇用する側とされる側の間で「雇用契約書」を巻く形になりますが、実はこれ以外の方法として"面白いスタイル"と言えるものがひとつあります。

それは、口頭での契約も成立させることが出来ると言う点です。しかしながら、口頭契約は(言った、言わない)と言うところから発生するトラブルをどうしても避けられない局面もある為今では書面契約形式を確りと行う企業が殆どです。


では「雇用契約書」の内容と言うものはどのようなものとなるのでしょうか?これは(千差万別的な部分がありますが)基本的には日本の会社で使用されているものと余り違うと言う訳ではありません。

しかしながら、それでも当地の雇用条例等を理解している担当者が作成するに越したことはなく、これは同時により細かい段となる「就業規則」の作成についても共通して繋がって来る考え方でもあります。

つまり、あくまでも日本本社の就業規定をベースとしながらも海外マーケットの特性やルールへの配慮を行って作成することで、出向者はもとより現地スタッフにも抵抗感なく受け入れてもらうものを作成することが肝要と言えます。尚、こうしたプロセスを経て出来た雇用契約書は雇用主と従業員の間で締結し、契約書そのものは通常2部用意して(契約内容に)問題が無ければ双方が署名し晴れて雇用契約が締結されることになります。

ちなみに香港での公式言語は中国語と英語である為、それ以外の言語(例:日本語)で作成・契約したものと言うのは(厳密に言うと)香港では効力がある書類とは認められないことを付け加えて置きます。その後、雇用主はIRD(Inland Revenue Department=税務局)に3ヶ月以内に雇用開始知書を提出する義務を負うこととなります。


では次は強制的な効力を持つもうひとつの制度、MPF(Mandatory Provident Fund=強制積立退職金制度)についてご案内します。既に当Blogでも以前何回かご案内させて頂いたテーマではありますが、この制度は今から20年近く前である2000年12月に正式に導入されました。


その対象となる労働者とは香港における会社に雇用される18歳から65歳までの労働者で、且つ、60日以上雇用される者となります。会社及び労働者はそれぞれ、その労働者の月額収入の5%(月額HKD30,000以上の場合、強制拠出上限HKD1,500でOK)を、Hong Kong Monetary Authority(HKMA=香港金融庁)が登録しているMPF運営会社に預託し、運用を行うことになります。

尚、この労働者の月額収入の定義と言うものの中には住宅手当を除く全額が対象となり、結果、賞与や交通費なども含まれることになることを留意して置かなくてはなりません。尚、雇用主側は仮に会社事情として従業員を解雇しなくてはならないような場合には、会社が積立てた分をその者に対する補償金(解雇保証金&長期服務金)として退職時に使用することが出来ると言う点を押さえておくと良いでしょう。


またこのMPFは従業員個人に持回りとして付いて来る為、新規採用対象者も(通常の前提としては)その者の前職先で積み立てていたMPFを引き継ぐ必要が出て来ると言うことを想定しなくてはなりません。


このように、法人として従業員に対する義務は福利厚生の部分に掛かる雇用コストとして跳ね返って来る為、計画的に対応することをお勧めしておきます。

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