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「国外財産調書」に対する国税の真剣度と民間の『意識差』

更新日:2019年12月13日

国外財産調書を提出する義務が発生する層というのは国税庁のHPなどから抜粋すると以下の定義付けになっています。


"居住者(「非永住者」の方(注1)を除きます)の方で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、その財産の種類、数量、価額その他必要な事項を記載した国外財産調書(注2)を、その年の翌年の3月15日までに提出しなければなりません。"

(注1)「非永住者」とは、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居住を有していた期間の合計が5年以下である方をいいます。

(注2)「国外財産」とは、「国外にある財産をいう」こととされています。ここでいう「国外にある」かどうかの判定については、財産の種類ごとに行うこととされ、例えば、次のように、その財産の所在、その財産の受入れをした営業所又は事業所の所在などによることとされています。


ここで言う国外財産の「価額」と言うのは、その年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされており、価値判断の基準となるのは日本円での換算が原則とされています。

また、要求される記載事項のそれぞれについては、提出者の氏名・住所・マイナンバーと言った基本的な情報の後、所有している国外財産に関する詳細な記載(種類、数量、価額、所在等について)を求められます。


この調書を指定されている期日(翌年3月15日まで)までに記載し提出すると、この調書に記載がある国外財産に関して所得税や相続税の申告漏れが生じた時であってもその国外財産に係る過少申告加算税等が5%軽減されると言う特典がありますが、反面、期限内に提出がない場合は逆に過少申告加算税等が同率(5%)で加重されるので期日管理については慎重さを欠いてはならないでしょう。


ではこの「国外財産調書」の提出状況と言うのはどのような変遷を辿って来ているのでしょうか?データによると初年度となった平成25年度については提出件数が5,539件であり、その総財産額は2兆5千142億円でした。これが翌年(平成26年度分)には8,184件で3兆1千150億円、平成27年度分は8,893件で3兆1千643億円、平成28年度分は9,102件の3兆3千15億円、そして平成29年度分は9,551件の3兆6千661億円と言った形で徐々に導入の"成果"が出て来つつあると言えるでしょう。


しかしながら、導入前は(200兆円を超える)と考えられていた国外財産実情を前提とすると、この数字はまだまだ満足出来る水準である訳では無く、今後一層、富裕層と国税の"イタチごっこ"は激しさを増すことが予想されます。


事実、この制度の"抜け道"を探すことを理由として、富裕層は香港等を利用(個人所有の国外財産を新設香港法人で保有→申告義務を逃れる等)するような動きを活発化させた時期もありましたので、再び(場合によっては)香港を筆頭としたタックスヘイブン地域(国)に富裕層の関心が当たらないとは限りません。

また、5,000万円のバーの引下げ等も導入前の段階からも噂されていたことを考えると、導入5年を経過した今、これまで以上の締め付けが当局から発表される可能性も含んでいます。


今年の統計数値がどのような展開を見せる形になるのかは分かりませんが、香港やシンガポールなどに運用財産などを所有されている方々にとっては「国外財産調書」の展開にも着目をして行くことが"肝要"と言える日が訪れるのも、そう遠くない未来かも知れません。

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