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何故、日系企業は「経営現地化」に失敗を重ねるのか?

更新日:2020年02月26日

日本の企業、特に製造業については海外のマーケット無しでは立ち行かない状況になって久しいものですが、その割には(相も変わらず...)と言うのが適切な表現なのでしょうか、現地側との感覚の乖離については"余り変化がない"と言うのが実情です。

その昔、今から30〜40年前の時代、日本は戦後からの驚異的な経済復興を成し遂げたこともあってか、自信満々に欧米諸国へ進出し経済戦争を仕掛けました。結果はある一定の成功を納めた部分はあったにせよ、相対的には劣勢は否めず、特に訴訟国家でもある米国ではかなり労使間での感覚の違いについて"翻弄された"と言うのが実態に近かったと言えるでしょう。


そしてバブル崩壊後は不況となった国内の経済環境を打破する為にアジアへの進出へと"鞍替え"することになった訳ですが、ここでも(現在に至るまで)進出国の人材との"融合"に多くの戸惑いを受けている会社は後を断ちません。特に「経営現地化」と言うハードルは日本企業にとって「鬼門」に近く、匙加減すら見当が付かないと嘆き途方に暮れる企業も中には有ります。

そもそも日本と言う国は非常に"単一的"な物の見方が主流になる国であり、結果、それに異を唱える声や者が現れると伝統的にそれらを"潰す"文化を持っています。立地環境的に四方が海に囲まれていると言う条件もある為、「異国」と言うものに対して潜在的に興味を抱くよりも"恐れ"を抱く日本人が多いのは致し方ない事実でもあります。


故にこうした異文化と言う環境に身を置いてしまうと按分が不確かである為(中庸的な手段や考えを採用するよりは)むしろ"水と油"であったり、"毒を飲み込む"と言ったような、極端な選択肢として表れるパターンが多いのです。


相手を知る、と言うことで始まる"リサーチ"についても相当いい加減なケースが散見されます。欧米企業はその点時間を掛けて用意周到に準備を行い多面的に調査するのが常ですが、日本企業の場合、特に中小企業の場合は海外行きを先導する国内の顧客からの受注事情が何よりも優先する為、そうした取引先の進出に合わせて(その取引先が)行く国や同じ地域に"お連れ"感覚で行く場合が多々あります。

この場合はリサーチ趣旨も歪曲されるのが常であり、"客観的"な調査を実行すると言うよりも、"主観的"、つまり如何に"(進出するのが)妥当であるのか?"と言う自己正当性が中心になってしまうのですから頂けません。


仮にこうしたケースばかりで無いとしても、では経営の手綱を現地の人間に委ねることが出来るか?と言う点には躊躇(ためら)いを憶える企業が多いのは否定できないでしょう。これが出来ないが為に態々"国内部隊"の日本人を現地に駐在させるなどして、"コントロール権"が日本(の親会社)に帰属していることを現地側に暗に仄めかす訳ですが、現地の視点からこれを眺めるとむしろ"煩わしい"だけの建て付けであり結果的に全体のモチベーションの欠除に繋がり兼ねません。

事実、香港や中国でも多数の日系企業がこの手の進出を果たしていますが、まさにこの点がネックとなって人材流動化に歯止めが掛からず、本社が望むような"ベクトル合わせ"が困難になってしまっている「遠因」となっていたりします。


以上、「現地経営化」と言うものを"来るべき"経営スタイルと捉えるには日本の企業側の成熟度が求められる要因が大きく、その適切なタイミングを判断すると言うのは中々容易ではないことは明らかです。この点にブレイクスルーをもたらすには、先ず最初に世界共通の人事制度を取り入れるなりして、次に中期長期視点で少しずつステップを踏むことで現地融合を目指すのが王道と言えるでしょう。

決して近道は無い、と言うのが結論であり、これからの日系企業の適用度に注目が集まります。

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