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海外で「共同口座」を持つ際に注意しなくてはならない税務上の課題について-2

更新日:2020年03月19日

「共同口座」と言う契約形態は海外では一般的な口座開設形態のひとつとみられる部分があり、それは香港でも同様であると言えます。しかしながら、日本でこうした契約形態を持つパターンと言うのは(税務上の考え方から)基本的に余り見掛けるものではありません。

従って、こうしたケースが日本で"表出して来る"事例の多くと言うのは、その者及びその者の家族が海外での生活を経験したと言う背景を持つ方々に偏ると言うのが現状です。


以下にご案内するものは、そうした前提条件であるケースであるとご理解下さい。

●贈与税の取扱いについて
例えば夫(現在は日本居住)が自ら得た所得を元手として香港において妻(収入なし)と共に共同口座を開設し、100を入金したとします。通常、こうした場合の日本の税務(相続税法)では「みなし贈与」に該当するのではないかと言う懸念が生まれますが、実質的にこの預金原資と言うものは夫自身が稼得したものである為、課税関係は発生しないと考えます。

またこの預金から生活費相当額をもう一方の名義人である妻が引き出すことについては、通常必要と認められるもの(相法21条の3①二)の範疇であれば、贈与税の課税は発生しない可能性が大です。しかしながら、妻が自らの裁量によりその預金で妻名義の財産を購入してしまったような場合においてはその限りでは御座いません。

更にこの口座を閉鎖する等の事由が発生した場合、その口座残高を夫単独の名義の口座に移した場合は問題有りませんが、妻単独の名義に移してしまった場合は贈与判定が施行される可能性は濃厚です。


●所得税の取扱いについて(利子受領時)
この預金から発生する利子についても同様であり、実態として夫が100%その預金を所有しているような場合には、その預金利子の100%が夫に帰属するものとして所得税申告を行い所得税を納付する必要が出て参ります。


●相続税の取扱いについて(夫の死亡時)
この預金原資の実態と言うのは(上記例のパターンですと)夫は実質的に全て稼得したものである為、預金残高の全額が夫の財産としてカウントされ、結果的に(妻にとっては)相続税支払いの対象となる点に留意が必要です。

換言すると、夫の死亡が発生した際は、例え形式的に口座名義人が夫と妻の共有となっている「共同口座」の場合であったとしても、"日本の税法"と言うフィルター越しでは財産の移動に関する税務=相続、が発生すると言う考えとなることに注意しなくてはなりません。

良く、一般的に誤解を呼んでしまう部分と言うのは「共同口座」が"共同で"その財産を所有していると解釈してしまう為、夫死亡後でも当局へ申告を行わず、相続税未納付のまま継続して妻がその口座にある残高を使用し続けてしまうと言うところです。


要するに、その「共同口座」にある原資を稼得した主体者が2名の内の一方に存在するのが通常のケースである為、その主体者死亡と言う出来事が発生すると、生存しているもう一方には必ず税金の支払い(相続、或いは贈与)が起こると言う点を踏まえて置かなくてはなりません。

繰り返しになりますが、香港では自由にそのまま使用出来る残高となるこの額ですが、日本の税法では該当しないと捉えて置く必要があります。

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