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「国際金融センター」としての重責に耐えられる香港というマーケットの特色とは?

更新日:2020年04月02日

香港は多くの面で他の市場では真似出来ない様々な要素を兼ね備えていることは当Blogでも何度もお伝えしました。今回もその内容に触れて行くことになるわけですが、ここ数年続いて来た多くの難関を経ている現在でもこの地域にはまだ"力強さ"と言うものを残しています。

実際のところ、こうしたことは他の市場との比較から生み出されて来ることが多い訳ですが、昨年においてもこうした調査結果では、香港は上位に位置する一級の経済活動地域として選出がされています。例えば、イギリスのシンクタンクであるZ/Yen Groupのランキングによると、香港は世界第3位のポジションを維持しています。

このランキングの比較項目というのは以下に挙げる5つの要素で分析を施し、1,000点満点の中でスコアリング後、最終的な順位を決めるものです。


1.ビジネス環境
政治の安定性・マクロ経済環境、税金面からみた取引コスト等

2.人材
柔軟な人材市場、プロフェッショナルの質等

3.インフラ
テクノロジー等のインフラ整備の充実度等

4.国際金融市場としての成熟度
市場の流動性等

5.都市としての全般的な評価
文化やダイバーシティ等
 

この評価で総合1位を維持している都市と言うのはアメリカのニューヨークであり、それに続いているのが2016年にブレグジットが発表されたロンドンとなっています。

実際、このブレグジット騒動でロンドンの位置は危ぶまれていたのは事実であり、その反動としてヨーロッパ内では"欧州の次なる金融センター"として期待が掛かっていたフランクフルトがありましたが、特に目立ったセールスポイントが見られないこともあるのでしょうか、世界的な評価上では依然として10位と言うものであり(しかしながら欧州の中ではロンドンに次ぐ位置です)、芳しいとは言えません。


香港は上記のニューヨーク、ロンドンの後に続く位置(世界第3位)を保てており、その香港を猛追している市場がシンガポール(同4位)とのことで、次回のランキングではようやく宿敵の香港を追い抜くのではないか?と一部では考えられていますが果たしてどうなるでしょうか?


具体的な得点配分の傾向を見て行くと、香港が上記の5つの項目の中で高い評価を得ている分野は2の「人材」と3の「インフラ」の面の2点になります。尚、⒈の「ビジネス環境」では香港は既にシンガポールの後塵を拝す形になっていますが、次回の評点でも(香港デモがあった昨年の評価からでは)香港がこの面でシンガポールに対して順位逆転を達成すると言うのはかなり難しいことでしょう。

但し、政治が安定していればそれで良いのか?と言うと、必ずしもそうであるとは言い切れません。例えばこの「政治的安定度」と言う切り口では断トツである都市の東京は、税コストが飛び抜けて高い為に順位を上げられませんし、そもそも人材面でも英語普及率が著しく劣ることがネックとなってしまっています。

このように1位のニューヨークを除くと各都市の強弱と言う評価は一長一短であり、故に多少の浮き沈みがあることは致し方が無い面があるにせよ、次回以降も順位に大きな変動が訪れることは無いのではないかと考える向きも有ります。

 
これを裏付ける話として、仮に「世界」と言う枠組みでは無く「中国」と言う一国の括りで香港と上海を比較したとしても、金融評価の上でキーワードとなる"外貨流動性"と言う観点からでは上海は香港の足元にも及ばないのが現実であることを踏まえると、両者の位置関係が逆転するのはまだまだ先の話であるのが現実的です。

またIPO実績を取って見ても昨年香港が世界一を奪還したと言う点を考えると、シンガポールの調達能力は依然として香港の水準にあるとは言い難く、これとてそれなりの時間が掛かって行くことは否めません。


以上の項目は、何れも断片的な比較事例を取り出しただけのものではありますが、仮にこれらに比重を高めないとしたとしても香港の「国際金融センター」としての競争力はアジアで随一である点は否定しようが無く、今年の回復過程と言うものにその真価が問われることは間違い有りません。

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