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『香港2047』への道〜中国と香港の思惑を考える〜

更新日:2020年05月28日

現実的な今までの流れとして香港は既に中国の中に入り、中国が決めたルール=一国二制度の中でこの23年運営されて来ました。そしてこのルールの下で運営される期間というのは客観的に見るとまだ後27年ほどの期間が残っていると言うのは事実です。

こうした時間的な枠組みだけで香港の行末を見て行くとまだまだ折り返し地点にすら届いていない段階ではある訳ですが、香港に住む人々、特に27年後にその時代を引っ張る世代となる現在の若年層からして見るとこの「27年」と言う時間は悠長に構えているのでは無く、むしろ本当の意味で自身のアイデンティティーを証明しなくてはならない"厄介な期間"と捉えている節があります。


香港の若者達が恐れるこの『2047年』ですが、ではこれを語る時、そもそもこれまでその自由を享受出来る土壌であった「一国二制度」と言うのは何であるか?と言うことを検証する必要があります。

実はこの「一国二制度」を可能にしているベースと言うのは(英国が全てを作ったと言う意見を聞くことはありますがそれはあくまでも部分的な影響のみ)中国側にあったと聞くと意外に思われるかも知れません。中国の憲法である中華人民共和国憲法はこの「一国二制度」のような"イレギュラーな"形式について、以下のように唱えています(中華人民共和国憲法第31条)。


『国家は、必要がある場合において、「特別行政区」を設置することが可能であり、この区において実施する制度と言うのは、具体的な状況に照らした上で全国人民代表大会がこれを法律によって定める』


つまり、この中国の法律で「一国二制度」なるものの規定を定め、これが結果的に香港とマカオに「特別行政区基本法」として付与される経緯を辿ることとなった為、中国側からするとこの中国版基本法(=上記の「特別行政区基本法のこと」)自体の支配権は"自分たちにある"と考えても不思議ではありません。

こうした理由があったからこそ、中国本土政府側としては、いずれ完全に返還される約束になっている香港への統治スタイルと言うものを徐々に強化・硬化して来たと言うことに繋がって来るのです。事実、2014年に公表された新聞弁公室の白書では、この「特別行政区に於ける一国二制度」について『香港固有のものではなく、全て中央政府から与えられた権利に過ぎない』と明文で定義しており、これは即ち中国の中央政府がその気になればいつでも(この制度を)香港から"剥奪出来る"と言う牽制の意味合いが含まれておりました。


然しながら、香港にいる市民達にとってはその取り決めについて認識をしつつも中国国内流のやり方を(返還前の)この現在時点において、一種の「圧力」として押し付けられる筋合いは無いと考えています。何故なら現在はまだ英国との約束期間でもある「50年」と言う期間を網羅する途上であり、しかも香港政庁は自治権を得ているので(1997年以降の)50年間については資本主義(=自由)経済を行うポジションが保証されて然るべきと捉えているからです


つまりこれは言論・報道・出版の自由や集会やデモ開催の自由、また信仰の自由と言った中国国内では"規制"対象とされる項目が香港では完全に許されているとの理解が市民にはある為、こうした"根幹の部分"での双方の認識乖離が軋轢の最大の原因となって来た訳です。


2047年の「風景」というのは現時点では何人も想像出来るものでは有りませんが、昨年のデモの期間、香港人の中には中国からの「独立」を叫ぶ民衆も出て来たのは事実であり、今後の27年間に於ける両者の衝突がどのような形になるかはこれからも注目の的となることは間違いありません。


それこそ"コロナ禍の原因を作った"と世界の世論が中国への圧力を増す現在に於いては何が起こっても不思議では無く、場合によっては共産党の屋台骨を揺るがす可能性も含んでいます。そうなると(圧倒的不利を伝えられている)市民の奇跡が誘発され、勝利という形でその年を迎えることもあるかも知れません。


さて、一体どのようになるのでしょうか?

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