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香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

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海外現地法人への出向者の給与に関わる税制について【コーヒーブレイク】

更新日:2021年02月12日

これは香港だけに限ったことではございませんが、日本の会社で海外子会社を設立した場合、そのマネジメントや従業員を全て現地で左右する事は稀です。その代わり、通常は日本の親会社から従業員を執行させることが多いと考えられていますが、これは一にも二にも日本の親会社の方が海外子会社を"全面的に支配したい"意向が根底に存在するからです。


このように、海外子会社への出向者を出すと言うことは、日本親会社がその者に関わる人件費について負担を覚悟する立て付けになりますが、その際は、往々にして現地の給与水準の方が低いことが多いため、海外子会社側がその出向者の給与を現地水準まで負担するとし、その較差分については日本の親会社が負担しているケースが殆どでしょう。


この場合、基本的な税法上の取扱いとしては、日本親会社が、海外子会社の給与条件との格差を補填するために支給した給与と言うのは、日本親会社に取っては"損金参入"が可能になると言うことです。

但し、日本親会社が海外子会社への出向者の給与に関して不必要に大きな較差補填をしている(つまり、費用を負担しすぎている)場合には、日本の税務当局から問題視される可能性があることに注意しなくてはなりません。そうした展開を回避する為には、前提となる較差の有無について、例えば事前に現地の同ランクの従業員の給与水準と比較するなどして厳密に計算しておくことが重要になります。
 
法人の対策は上述の通りとなりますが、それでは海外子会社に出向する従業員の立場からは見るとどうなのでしょうか?
 
まず日本親会社としては、海外子会社に従業員を出向させるにあたって、その出向者個人の税負担も考えておく必要があります。この場合、法人税と言う視点ではなく、その出向者の所得税の問題となります。
 
まず日本親会社の従業員が海外子会社に出向する場合で重要な論点は、その出向期間が1年以上になる場合となるかどうかです。何故なら日本の所得税法上でこれは「非居住者」として認定される範疇の話となるからです。

海外子会社等への出向者が「非居住者」に該当するかどうかの判定条件は若干複雑になりますが、それを敢えて単純に言うと「出向契約等で出向期間が1年以上と定められている場合」や 「出向期間が定められていないなど、出向期間が1年未満であることが明らかでない場合」には、基本的に非居住者と言う扱いになります。

また、この非居住者の判定が源泉徴収の要否を判断する上での出発点となります。
海外子会社等への出向者に対する課税関係は、その出向者が日本の(1)居住者であるか、(2)非居住者であるかよって変わってきます。

 
(1)出向者が日本居住者の場合  
海外出向者が居住者と判定される場合、その海外出向者の全世界所得(国内及び国外で発生した所得)が日本の所得税の課税対象となり、日本国内で支払われる給与等は源泉徴収が必要になります。また国外(出向先)で支払われる給与等も、(出向者が)日本で確定申告する必要があります。

ただし、いわゆる在勤手当(海外赴任の際の手当で物価水準の差などから国内で勤務した場合に比べで利益を受けると認められていない部分の金額)は基本的に非課税です。

 
(2)出向者が非居住者の場合
海外出向者が非居住者と判定される場合、その出向者に支払う給与等は、国内源泉所得のみが日本の所得税の課税対象となります。ここで、出向者が日本親会社において使用人である(役員ではない)ことを前提とすれば、国内源泉所得は、給料や賞与等のうち、日本国内で行う勤務に起因するものになります。

したがって、その海外出向者が国外でのみ勤務する場合は、日本の国内源泉所得は無いことになり、仮に留守宅手当のように日本において支払われる部分があったとしても、源泉徴収の必要はありません。
 

以上、定義についてご案内しましたが、最後に非居住者の海外子会社での勤務に対応する給与等については日本の所得税は課されませんが、基本的に現地の所得税を課されることになるのは言うまでもありません。

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