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東京オリンピックのコロナ対策は万全か?香港ジョッキークラブの事例を通して検証する。

更新日:2021年06月14日

6月に入り、東京オリンピック(及びパラリンピック)開幕までの期間がとうとう2ヶ月を切ることになりました。コロナ対策の要(かなめ)であるワクチン接種は既に全国で始まってはいるものの、自治体は政府がランダムに発信するその指示内容に振り回され、今や混乱を度合いを強めている状況です。


7月には各国選手団、世界のメディアが殺到する(であろう)東京では、現時点(6月初旬)の段階でも具体的にどのような防疫態勢が取られるのかが不透明であり、むしろ一向に大きな効果が数字として表れて来ない感染者数に、政府、東京都、オリンピック組織委員会の焦りが"炙り出されてしまっている"、と言っても良いかも知れません。


事実としてこの2年、飲食店や観光関係の業界だけでなく、コロナ禍のために入場制限や開催中止等に追い込まれたスポーツ興行やエンターテイメントは数多くあります。このパンデミックはまさに世の中が一変するような大事件であり、この流れが長くなればなるほど、こうしたイベント系にとっては死活問題になって来ていると言うのは間違いありません。

このように日本の惨状は"語るもがな"、ではありますが、海の向こう側である香港ではこうしたイベント系の業界でも一定の効果を挙げる事例が出て参りました。


それは、香港唯一の競馬の競技団体である香港ジョッキークラブ(以下略、HKJC)です。コロナ禍に見舞われた昨年来、HKJCはこれまでの間で国際招待競走を3回開催しましたが、実際に日本から強豪馬と競馬関係者を招いた昨年12月と今年4月春の2回の競走(初回は香港勢のみ)では、関係者から感染者を1人も出すことなくイベントを無事に成功に導いたのです。


これらのイベントにおいて、現地ではどのような防疫態勢が採られていたのかと言うことを紐解いて見ると、その内容から(世界中から選手団、関係者、メディア関係者が大挙して来日するであろう)東京オリンピックでどのような態勢の構築が必要なのか?と言うヒントが見えて来ます。


では具体的にこのコロナ禍でのイベント開催に際してHKJCと香港特別行政区政府はどのような連携を取り、そのためにどのような態勢を構築したのでしょうか?


先ずHKJCの防疫態勢の徹底振りが理解出来る点と言うのは出走関係者に対して地元香港人との接触を極力避けさせ、外出も一切禁止としたことが挙げられます。また滞在期間中は徹底した監視態勢を敢行し、そのために動員したスタッフは通常の国際招待競走時を大幅に上回るものだったとのこと。


中でも特筆すべき点と言うのはメディア対応に出ています。平時において、HKJCは世界で最もメディアを優遇するイベント主催者との評価が常々あり、特に年2回開催される国際招待競走に関しては、日本、欧米などから大挙して取材に訪れるメディア関係者を大々的に招待することでその発信力を強化して来たと言う歴史があります。


ところが、コロナ禍下で開催された直近の2回の国際招待競走については何とこうしたメディア陣を全て"門前払い"を喰らわせることを実施しました。


実際の話、出走関係者を相手に水も漏らさぬような監視体制を敷いたことを鑑みると、例年は大型バス2台分を満員にしてしまうほど多いメディア関係者に対して同様の監視態勢を取るのは至難の業とも言え、結果としてHKJC側もこの判断を行うのは容易ではなかったと言うのは想像に難くありません。


しかしながら、こうした"割切りの潔さ"がある意味、域内の感染者数抑制などの結果に反映しているのは事実とすら言え、その面で相変わらず優柔不断の姿勢に終始する日本の先行きには大いなる不安が横たわっているとしか言いようがありません。


実際のところ、開幕まで2ヶ月を切った現時点でも各国選手団、関係者に対して、どのような規制をかけるのか全く青写真が見えてこない日本。また、自国の観客の扱いですらどうするか決められない状況や、選手団と同じく大挙して来日するメディアを合わせればオリンピック来日者は5万とも10万とも言われることを想定すると、これだけの数の来日者に対して日本がどのような防疫態勢を構築するのかが早急の問題として存在しています。現実的には(HKJCが実施したような)水も漏らさぬ防疫態勢を作ることなどは不可能であるのは明白と言えるでしょう。


この、対策なきイベント開催、を強行する日本は、イベント後に発生する国際的な評価及び(場合によっては)訴訟などの件も視野に入れなくてはならないのは不可避であり、防疫面での今一度の確固たる態勢の構築と世界への事前通知は必須事項であると言っても良いでしょう。


事実、それらをなしにオリンピックを強行することと言うのは、あまりにも無責任であり、無策・無能を世界に知らしめることに他なりません。

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