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厭世観が漂う香港の選挙。主権はどこに?

更新日:2021年12月30日

香港では12月19日、注目となる立法会選挙の投票が行われました。既に海外メディアなどでも報道されていた予想の通り、香港政府(+中央政府)に批判的な民主派候補が立候補を見合わせることにより選挙の行方は親中派が圧倒的多数になることが確実視される状況下で行われ、結果として90議席中、1議席(中間派)を除く89席を彼等が占有することで決着となりました。

当日の投票は日本時間で午前9時半から行われましたが、2019年に行われた区議会選挙での投票率(約71%)などと違って香港市民の関心は非常に薄く、過去最低値である30.2%を記録することになったそうです。


それにしても、この"茶番劇"は一体何でしょうか?


そもそも民主主義体制を敷く香港の選挙制度が本来の形で機能していれば、(上述のような)極端な結果はあり得ない訳ですが、中国政府が声高々に喧伝した今回の「新しい選挙」の方式と言うのは、まさに中国の、中国による、中国の為、のものであり、香港市民の民意と言うのは完全に無視・反故されることとなったのです。


それにしても、選挙制度改変と言うには"酷い"ものでありました。それは候補者を最初に選定する段階からオカシイものがあるからです。ちなみに先ず立候補したいと思う議員は(中国の全国人民代表達ら親中派が99.9%を占める)1,500名からなる選挙委員から10名の"推薦"を得なければ出来ないことになっています。

それに加え、候補者自身が(中共が認めた)「愛国者」であるかどうか?というスタンスで事前に審査されるようになっていて、そうでなければ選挙の候補として出馬することすら出来ないと言うものです。つまり、換言すれば、真の民主派候補が入り込む余地など全くないと言うのが実態なのです。

事実、今回の選挙でも、民主派政党自身が「選挙そのものに"正義"は存在しない」と言う見解を表明しており、候補者の擁立を見送る形となりました(結局、当局が立候補認めた153人の候補者の内訳は、約140人が"親中派"、残りの十数人は「民主派」や「独立派」などを名乗る"中間派"とのことでしたが、これら"中間派"自体が上述の"親中派"側から支援を受けていると言う内情でした)。


従って、こうしたことを理解している市民にとっては最初から公平性など"欠片(カケラ)もない"選挙に行っても(仕方がない)との判断があり、これが過去最低の投票率として表れたと言うことです。


100%の親中派議員により占有された立法議会選挙に対して民意が突き付けた過去最低の投票率。


これこそが香港の抱えている"病巣"の実態と言えるのではないでしょうか?


何れにしても、今や政治的には"中国となってしまった香港"に住む香港人にとっては、自由を謳歌していた時代のアイデンティティーの拠り所が無くなったことに等しく、多くの者は、今後の生き方として(表面的には)迎合する形となるのが現実的な選択となったと言えるでしょう。そんな環境下の中で唯一の救いが得られる部分があるとするならば、それは「経済活動」と言う部分だけかも知れません。

この部分こそが、香港人が"香港人である"と言える理由のひとつであり、こうした趨勢を鑑みると次世代の香港と云うのは、中国体制下での経済牽引力となって行くことだけがその役割であると言えます。一例として挙げるなら、デジタル人民元の国際金融センターとしての責任であり、既に中国の「一帯一路」計画の中でもそのポジションは明記されています。


選挙にて露呈した厭世感が支配している現時点での香港ではありますが、同時に大きな社会的変革が起こる際の、必要不可避な段階のひとつとも考えられなくはなく、数十年経った暁には、こうしたことすら笑い話(?)となり、新しい香港としての転身が当たり前のこととなっているかも知れません。適者生存と言う言葉がありますが、選挙を通して未来を予想するとするならば、この路線が香港の唯一の選択肢と帰結するのは早計過ぎる話でしょうか?

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