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英国統治時代の香港であっても「主権」は中国に帰属していたと言い張るその理由とは?

更新日:2022年07月11日

香港の現地メディアの報道によると、今後、香港域内の学校で使用される新しい教科書には(香港が)英国の植民地だった事は"1度もない"と言う内容が記述されることになるようです。こうしたことに触れる我々の感覚というものは一様に(また中国がやるいつもの理不尽な仕業)と捉えがちになりますが、中国には中国なりの理屈というものがあるようです。

この(中国側の)意見を正当化するところと言うのは、彼ら曰く、英国が香港で行っていたことの立ち位置です。中国曰く(英国は)あくまで植民地支配を実施していただけのことであり、それは即ち「主権」を持っていたこととは"別の次元のこと"だと言うのです。つまり、言い方を変えると、香港の主権と言うのは(英国統治の時代を含めて)その昔からずっと継続して中国側に帰属していたのだということです。

歴史を遡ると(既に多くの人が認識しているように)1800年台のアヘン戦争から香港に対する英国の関与の度合いが強くなっています。具体的には1841〜1941年の100年間、そして第二次世界大戦後の1945〜1997年の約50年間、合計で約150年間統治をして来た訳ですが、こうした公に出ている"実績"ゆえなのでしょうか(?)、今や香港人の多く、特に若い世代などは香港を「英国の属領」として捉えていたのは事実と言っても過言ではありません。

今回の香港政府(=中国政府)の試みと言うものは、そんな(西側から植え付けられた)"フェイク情報"を払拭することを目指すとしており、"先入観"排除が目的です。但し、手法としては(頭がガチガチ&自由のイデオロギーに染まっている)大人達が対象なのではなく、その逆である頭が柔らか若年層=学生層の考え方の"書き換え"を目的にしていると言う点に特徴があります。

新たな教科書が「植民地」と「植民地支配」の違いをわざわざ丁寧に説明する。

つまり、ある国が国外の領土を「植民地」と呼ぶ為には、その領土をめぐって"主権"と"統治権"の両方を持つ必要があると定義し、これを香港の場合に当てはめることで、英国が行なって来たことと言うのが、「植民地支配」を実施しただけの話であると再定義し、「主権」が中国の下にあると説いています。

では、そもそも何故このようなアクションを行うことになったのか?と言うことですが、その切っ掛けと言うのは、2019年に香港で大規模な民主化運動での社会的動揺にあります。"英国属領(=植民地)"と言うある種の"帰属意識"が香港の市民、特に若者を"暴徒化"させてしまったことを北京は重視したのだと伝えられており、こうしたことを今後根絶する為の再教育に当局は乗り出したと言うのが背景にある理由だったと言うことなのでしょう。

ここで英国が本当にやり合おうとするのであれば、恐らく2カ国間での軋轢と言うのは一層激化すると言うのが明白になりますが、ここに費やすエネルギーを"価値あること"と英国側が捉えて介入して行くかどうか?についてはまた別のことであり、恐らくこの教科書の中で語られる内容と言うものが、数年後の若者達の頭の中ではすっかり"真実化"してしまっているかも知れません。

既成事実を作り、それまでの歴史解釈をひっくり返すことについて中国の右に出る国がないことを考えると、次世代の中心となる層へのこのアプローチは実に用意周到、"4000年の歴史"を感じざるを得ないと言うのが正直なところであると言えるでしょう。

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