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"翻弄されるだけ"に終わってしまった(?)林鄭月娥行政長官の時代

更新日:2022年08月05日

『激動の5年』。

これは香港行政長官職を先頃まで務めた林鄭月娥(Carrie Lam)氏の"偽らざる"心境の一部であることは間違いないでしょう。2017年の当選当初から、"選挙方法の在り方"について民意と中央政府の間で思想上の乖離が露呈していたタイミングであり、その中に図らずとも存在する形となった林鄭氏は、言わば"主君に従う下僕のように"、民意の矢面に立つ"急先鋒"と言う役割で政権運営の任に就くことになったのです。

しかしながら、就任して2年弱の間はまだまだ露骨な衝突が形となる訳ではありませんでした。

イデオロギーの衝突が一気に噴き出す結果となった事件と言うのは2019年4月3日に審議開始となった「逃亡犯条例」改正案です。この改正案の内容はというと、立法会(議会)に於いて中国への容疑者(政治犯)の引き渡しを行うことを承認する、と言うものであり、これは同年6月9日に大規模(100万人)な反対デモへと発展することになりました。

この"巨大化した"民意の動きに対して(あろう事か)"力で押さえ込む"と言う判断を行なった林鄭氏の姿勢は、その1週間後に当たる6月16日には返還後最大の規模となる200万人のデモにまで膨張...、まさに収拾がつかない状態を招くことになります。この結果、条例改正案を撤回する羽目に陥る失態を演じた以降の彼女の役割と言うのは、自他共に認める(?)、単なる"中央政府の傀儡"と言うものだけに益々特化して行くことになります。

当然、その翌年に可決された「香港国家安全維持法」も、その後の民主派議員やアクティビストの逮捕も中央の言われるがまま、完全に主体性&独立性を失い、市民からはヒンシュクを買うだけのものとなりました。

そして、こうした下降の一途を辿っていたポジションに対する唯一のチャンスと言うのが、新型コロナウィルス感染症対策であった訳ですが、林鄭氏の施策は一時の成功を香港にもたらしつつも、北京から最も成果を求められた時期となる今年の第一四半期(1月〜3月)には、逆に感染者数が域内最高値までに伸びてしまうと言う運命を辿ることになります。

実際の話、林鄭月娥行政長官の命運と言うものは上述のデモ封鎖に失敗した事を引き金とし、コロナ対策について読み誤ってしまった2点に集約されていると言っても良いかも知れませんが、聞こえて来る噂の中には既に昨年末の段階で習近平国家主席から"引導を渡されていた"と言うものも含まれています。

林鄭氏が不出馬表明をした4月4日、本来であるならばそれまでの歴代行政長官達同様、何らかの功績を讃えるコメントを中国政府は出して然るべきではあった訳ですが、残念な事に、こうしたコメントの類の一切は同氏に対して届いていなかったようです。

林鄭氏の過ごしたこの5年、香港にとっても(香港を)取り巻く情勢と言うのは"180度"と称して良いほど大きく変化をしました。今後を引き継ぐ事になる李家超行政長官のスタンスは既に固定化されているのは周知の事実である為、中国国内の目線的には何ら驚く流れはないような5年となる事でしょう。但し自由経済社会出身者にとってそれがどう映るか?は別の話ですが。

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