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香港返還25年で"変わったこと"、そして今後の25年で"変わらないかも知れないこと"

更新日:2022年08月26日

中国政府の香港に対するスタンスは7月に就任した李家超氏とその派閣を構成するメンバーで一層明らかになりました。返還50年と約束されていた一国二制度の中で丁度折り返し地点となった2022年は今後の25年を占う意味でもとても重要な年となります。

そして中国政府が示した「方向性」と言うのは今回の人事から想像するに、香港を"警察監視型の社会"へと作り替えることなのかも知れません。では、この"監視型社会"を設置するに至る過程には一体何が中央(政府)で懸念され、また検討されて来たと言うのでしょうか?


そもそも中国が何故ここまで強行に香港統治に拘ったのか?と言う理由については(西側メディア等に毒された?)我々外国人の捉え方と言うのはかなり一方向的なのかも知れません。媒体の喧伝する内容の多くは香港の市民が中国の突然の圧政に苦しみ、基本的な権利を"略奪された"と言う見方が定番化しており、中国側の論点を考察するものは余り多くないと言えます。

勿論、香港に圧力を掛ける意味合いと言うのはその先にある台湾への圧力にも通じると言う視点があるのは事実ですが、意外と香港内の自治運営の安全な運用を危惧した為の"侵攻"と言う意見が少ないところが気になる点です。

 
例えば香港vs中国共産党の闘いの中で登場することになった象徴的な存在、また"民主の女神"と形容された周庭(アグネス・チョウ)氏のケースは如何でしょうか?彼女は「雨傘運動」や「国家安全維持法」制定の際に度々我が国のメディアを含めた様々な媒体に取り上げられ、あたかも悲劇のヒロインのように祭立てられ上、非常に美化された存在として報道されることになったのは記憶に新しいところです。


しかしながら、香港を正しく理解している人であるならば、彼女を「民主派」の1人と呼ぶのは誤りだと言うことに気がついています。その理由は、周庭氏が所属する勢力と言うのがもともと「自決派」と呼ばれるところであり、「民主派」のそれでは無いからなのです。

「自決派」と言うのは文字通り"香港のことは香港人自身が何でも決めるべき"と言う思想に基づいて活動をしていますが、同時に彼等はその行動の方向性が原理主義者のそれに似通っており、意図的に暴徒化・過激化を演出すると言う"欠点"があります。


つまり、日本で言う"学生運動"を扇動するような組織のひとつと受け止める向きは多く、換言すると、彼等は決して普通の市民が集まった有志達では無かったと言うことなのです。こうした点を踏まえて"香港vs中国"という軸の中で公平な見方を試みるとすると、2014年の雨傘運動や2020年の国家安全維持法制定反対のデモなどの中で最も先鋭化・暴徒化したのは他ならぬこの「自決派」勢力であり、彼等の所業の多くは親中派の市民と衝突しての流血騒ぎ、また商店等の打ち壊し等々...相当な深度で政府(香港&中央)の手を"煩わせた"と言う面があったのは否定出来ません。


故にその観点から治安維持の為に強硬手段を(政府側が)使わざるを得なかったと言うのが実状であったと言う訳です。何れにしても自決派を筆頭とした反抗勢力がやり過ぎてしまったが故、「国家安全維持法」の成立へが早まったと言うことは"皮肉な運命であった"、と形容できるでしょう。


ではこの7月1日から始まる一国二制度の"残りの25年"と言うのはどうなるものなのでしょうか?


構築された組織から見える印象は、簡潔に言うと、今後香港市民は自由な言論を封じられ、またその行動が常に監視される、と言うことです。また、その"監視の目"と言うのは、徐々に回復していく見込みである外国人観光客やビジネスパーソンにも向けられることもあると想定され、あらゆる政治的な発言について一定のリスク(逮捕など)を内包すると言っても良いかも知れません。


しかしながら、こと経済活動面においてはネガティブな話が殆ど出て来ないのも奇異な事実と言えます。香港の国際金融センターとしての地位と言うのは「国家安全維持法」成立後であっても一切揺らいでおらず、西側メディアが査定する世界金融センターランキングにおいてもニューヨーク、ロンドンに続いて依然として3位を維持しています。内容的にもGDPや株価指数が何れも堅調であることを考えると、金融・経済機能についてはこれからも磐石であると評価しても良いものなのかも知れません。

「監視型社会」が今後どのように経済への影響を与えて行くのか?と言う点については不透明さが残ると言っても良いかも知れませんが、逆にその不透明さ故に我々香港ウォッチャーはその進行を注視しておく必要があるでしょう。


何であれ、この25年が以前の25年とは違った景観となるのは間違いなく、それがどのようになるのかを見極めて行くのが重要なタスクとなると言えそうです。

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