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市場の躍進を下支えする「構成要素」に水面下で変化が起こっている香港

更新日:2024年02月05日

全体から見るここ数年の香港の経済状態をひと言で形容すると、やはり"芳しいものではない"と言うのが適切なのかも知れません。

当地の市場状況を表していると見られる不動産指標などを例として挙げるとその状況はより鮮明に見えて来ます。例えば当地の中古住宅価格は(2021年の8月の)ピーク時から考えると昨年10月までの間に19%も下落しており、この後もポジティブな要素を見つけ出して行くのには多くの困難さを抱えることになりそうな見通しです。

事実、このレベルの下げ幅と言うのは実に2008年の世界金融危機まで遡る必要があり、結果、業界内で捉えられている認識と言うのはこの数字を見るだけでも推して図るものがあるでしょう。実際、この結果を物語る一例を挙げると事業用不動産のサービスを手がけている大手有力企業の分析では、当地のオフイステナントの20%以上が今後2年間でオフィススペースを縮小する可能性があると言うだけでなく、その半数以上が香港でのビジネスそのものの需要の縮小を理由にしているとのことなのです。

こうした"流出面"にフォーカスを当てると他にも心配するに足る事象は他業界にも散見されます。

例えばそれまで香港の"得意分野"と認識されていたIPO(新規株式公開)市場でも現在ではかつての勢いを失っており、昨年の実績などを例に挙げると最盛期(350億ドルを調達)の10%程度に届くのが精一杯と言う状況なのですから頂けません。

またそれ以外で重要なことを申し上げると、香港がここ20年、最も頼りにしていた親(=中国)の経済成長スピードが近年かなりの鈍化を見せていると言う点があり、こうしたそれぞれの要素をピックアップして検証するだけでも、当地がV字回復の実現するには"運以上の何か"が必要と言えるかも知れません。

ただ一方ではこうしたことはあくまで'"一過性のもの"であるとの見方があるのも事実です。

また、それを補う根拠と言うものも存在します。

それは香港を訪れる"人々の構成要素"です。コロナ禍が沈静化して以来、他国同様、香港にも以前と同じように多くの方々が訪れるようになりました。それこそ観光客からビジネスマンまで、またテリトリーとしては中国本土からは言うに及ばず、日本、台湾、韓国と言ったアジア諸国、また英国やアメリカ等々...様々な方々が様々な目的を持って当地にやって来ている訳ですが、そんな中で就労ビザ(査証)を申請する者に着目すると面白い面が見えて来ます。

何故なら申請者の主体が中国本土からの者であるからであり、これらの申請者達の中で実際に就労許可を受けた者の9割が彼らであると言う事実です。これは"国際都市"を自認する香港の従来のスタンスから見ると「驚き」に値する事象とすら言え、今後の成り行きを示唆するものになる可能性を秘めていると形容出来ることでしょう(勿論、香港政府は本土の方々に対してかなりの優遇制度を設定する=忖度があるのは事実ですが)。

つまり、換言するとこの"傾向"は香港と言うテリトリーの方向性が徐々に内部で変化して来ていると言うことなのかも知れません。つまり、香港は今後も"国際都市"と言うステータスを表明し続けることに変わりはないでしょうが、従来の構成主体であった西洋諸国が徐々に引いて行くことになり、その"穴"を埋めて行くのが本土になると言うものです。

香港の投資家であるデービッド・パブレス氏の言葉を借りると"古い香港は戻っては来ないだろう。だが、その代わりに新しい香港が現れる。香港は繁栄を続けるだろうが、それは香港が自己改革に成功するからに他ならない"。この「自己改革」と言うものが何を意味するのかは分かりませんが、仮に香港が"中国主体の国際都市"となると言うことなのであれば、ひょっとしたらそれはかなり短いスパンで実現することになるかも知れません。

勿論、将来のことは誰も明確には予見出来ないとは言え、こうした今までの流れを見るとそれは"既定路線的な話"として納得してしまうのもまた事実のひとつと言えるでしょう。

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