いよいよ狭まって来た(?)オフショア口座開設の状況 ~シンガポール~
アジアで香港と並ぶ人気マーケットと言えば、一にも二にもシンガポールが挙げられます。
初代首相であるリー・クアンユーは、東西の物流ハブとして位置付けられていた程度に過ぎなかった小国シンガポールを、その強烈なリーダーシップと経済重点主義の断行によって短期間の内に世界有数の国際金融センターへと押し上げました。
こうして今では同国は「アジア四小龍」のひとつに数えられるまでの成功を獲得し、ヒト・モノ・カネの3要素がこの国にこぞって集中するというトレンドを生み出しています。
日本の投資家にとっても、昨今の中国との政治問題から派生する様々な圧力や嫌がらせに対する嫌悪感からか、中国との繫がりを強く持つ香港を飛び越えて、シンガポールをその投資や移住などの候補先として標準を定める方々は決して少なくありません。
このように、外資を呼び込む為の魅力的なマーケット作りに腐心して来た同国ですが、近年、世界中が租税回避国糾弾に走る流れに対する危機感があったのでしょうか、これまでの国の施策(拡大路線)から”逆行する”ような動きを強めております。
そのひとつが、オフショア法人設立に関する”締めつけ”です。
昨年の秋口あたりから、在シンガポールの国内外の銀行は、(同国を利用した)オフショア法人口座開設受付を実質的にシャットアウトし始めました。これは丁度、香港でも時期を同じくしてHSBCがBVI(=英国領ヴァージン諸島)の口座開設を(非公式ながら)引受けなくなり始めた時期と重なります。
しかしながら、シンガポールの場合は香港とは比較にならないほど強力且つ徹底的な対応振りであり、この口座開設謝絶の流れは単にBVIだけに止まらず、その他のオフショア地域・国(例:セーシェル、サモア等々)にまで一斉に及ぶことになっております。
こうした突然の『強権発動型』施策導入は、トレンドの最先端をイメージさせるシンガポールの表面的な『顔』とは裏腹に、実は歴史的にはこの国の「お家芸」でもあります。そう言う視点で見ると、やはり初代首相リー・クワンユーを父とする、リー・シェンロン現首相にもその血筋は脈々と受け継がれていると言えるのでしょう。
何れにしても、この様な極端な方針変更の”余波”は、今後(香港を含めた)アジア金融立国達にとっても看過出来ない事態へと発展して行くかも知れません。
海外進出を目指す起業家や投資家にとっては、こうした国政の変化などによってプラン再考を迫られる可能性も今まで以上に視野に入れて置く必要があるのではないでしょうか。
自由経済立国として名高くなった存在であるこのシンガポールとて、その例外ではないのです。
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