中国の会計年度と”予定納税”と言う概念
中国進出する企業(及び駐在員)にとって、事前に確り理解して置かなければならない事は、その『会計年度』と『予定納税制度』です。
言うまでもない事ですが、日本では企業の会計年度と言うのは自由に設定出来ます。例えば会計年度スタートを7月1日と決めれば、その翌年の6月30日と言うのがその会社の”年度末”になりますね。
これは香港でも同様のルールですので2カ国間(日本ー香港間)の調整は非常に楽に行えます。
ところがこれが中国になると事情がかなり変わって参ります。
何故ならこの会計年度を企業側が勝手に決める事は許されず、その代わり政府が決めた期間(1月1日から12月31日まで)に従うことが強制されているからです。
これだけならば(成る程…)と言う程度で終わってしまいますが、実はもうひとつ、注意をしなくてはならないものがあります。
それが『予定納税』と言う制度。
この『予定納税』とは、元々は内資(=国内)企業にのみ適用されていた制度でした(旧企業所得税法)。申告の頻度は実に毎月(!)と言う強烈なもので、翌月の15日までに当月の分の月次決算書を作成し、税務局に申告を行わなくてはならないと言うものなのです。ゆえに、内資企業の経理に掛かるプレッシャーは甚大そのものでありました。
ところが2008年から施行された新企業所得税法で(こうした内資企業からの不満を汲み取ったのか?)、とうとう外資企業にもその制度が派生することになり、今ではあらゆる企業にとって大きな業務負担のひとつになっ来ております。
上記に加えてこの制度の問題点は、こうした時間的な圧力だけでなく、一旦税務局にデータを申告する事になってしまうがゆえ、あとになって数字の修正・調整を行う事がとても困難になってしまうと言う危険な要素も孕んでしまうことなのです
実際、この対処法を間違ってしまうと税務局から必要以上に目を付けられ、場合によっては大きなペナルティー(=罰金)を被る可能性が大きくなります。
こうした制度、特に税務に絡む制度に関して軽視は禁物。
事実として在中企業(&財務担当者)を今でも悩ます大きな要素であり、それは消えそうにもありません。
↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓
関連記事
-
-
公示価格から見た地価の動向
今から約2ヶ月前の3月21日、国土交通省から国内の地価公示価格が発表されました。 …
-
-
ポケモンGOにも課税!?
7月初めにアメリカなどが起爆剤になり、一気に世界中に浸透したNiantic社制作 …
-
-
ビジネスシーンとして見た香港の現状
8月12日、香港国際空港にはエアポート埋め尽くさんばかりの人垣が集まり、例の「逃 …
-
-
香港の資産も詳細申告が必要?『国外財産調書』の提出状況
香港やシンガポールと言った、俗にいう“タックスヘイブン地域・国”に資産を持つ日本 …
-
-
【 海外居住親族に係る扶養控除の改正② 】
前回の配信では海外に移住される親族について日本で扶養控除や配偶者控除等の適用を受 …
-
-
【日本の税務調査の基礎知識 (2)】
日本の税務調査に関しての基礎知識として、今回は組織別の調査をご案内させて頂きます …
-
-
香港人にとっての「日本」とは、如何なる存在なのか?
香港では「日本」が“溢れている”と言っても過言では無いでしょう。街を歩けばそれこ …
-
-
“非居住者”になっても課税が発生する項目とは?
事業で成功したり、親からの遺産を相続したりすることで財を成される方々が多くの場合 …
-
-
香港の税務申告制度とは?
やや時期が過ぎてしまっているタイミングとはなりましたが、今回は香港の税務申告につ …
-
-
香港ビジネス活用術ウェビナー 12/12(水)開催
今年最後の無料ウェビナーの開催日が決定いたしましたので、お知らせいたします。 今 …
- PREV
- 中国での個人所得税
- NEXT
- 配当金送付にかかる税率の差