無縁だったある税制の方向転換:香港の「移転価格」について
香港は、自由貿易と低税率を特徴とする国際的な金融センターとして知られており、多国籍企業の拠点として重要な役割を果たしています。一方で、こうした企業活動の中で殊更重要になると思われるものの中には、「移転価格(Transfer Pricing)」と言うテーマがあります。「移転価格」とは、読んで字の如く関連会社間で行われる取引における価格設定のことを指し、不適切な価格設定は税務当局による課税回避の懸念を引き起こします。正直なところを言うと、税率が低い香港ではつい近年までこの「移転価格」と言う分野についてはあまり関心が持たれない分野ではありました。
何故なら通常の実務から考えると税率の高い(例:日本)ところから低い(例:香港)ところへと収益は移転されて行くことが(関連会社間での)取引上では常識化されて来た為であり、結果として“税収が増える“香港側にとってはこれを問題視する理由と言うのが見当たらなかったからでもあります。しかしながら、今や租税回避行為(類似を含めて)の領域と言うのは世界中の税務当局が目を光らせているトピックであり、こうした流れを看過し続けることは“国際金融センター“としての香港の立場や評価を将来的に大きく毀損する可能性がある場合があり、故に当地でもようやくその重い腰を上げる段となったのです。
本稿ではこうした上述の経緯を鑑み、当地の「移転価格」の現状、その背景と課題、更には多国籍企業への影響について改めて考察して行くことにします。
詳しくはCCM香港HP
【香港の「移転価格」の現状は、
↓ブログ村参加してます。応援よろしくお願いします!↓
関連記事
-
-
“超法規的権限”を手にしてしまった行政長官
10月初旬、香港政府は2つの重要な法律を可決しました。1つは立法手続きを省略する …
-
-
主権は一体どちらに?香港を巡る中国と英国の解釈と立場
「物の見方」と言うものは多くのケースにおいてとても多面的になり、論議の的(マト) …
-
-
“特別買収目的会社“が香港IPO市場を席巻する?
香港は言わずと知れた「国際金融センター」です。今まで世界中の企業が香港の演出する …
-
-
林鄭月娥(Carrie Lam)前香港行政長官の5年
香港における今年の“大きな転換“と言うのは、(少なくとも形上では)当地の行政長官 …
-
-
1884年以来の天災(?)、香港の台風強度とその種類
香港の立地的な条件からすると、これは我が国同様、基本的には毎夏のこの時期において …
-
-
香港の所得税(累進税率と標準税率)の構造って?
香港でも給与所得に対する課税と言うのは当然のことながら存在しています。その種類は …
-
-
何故、香港金融業界で働く選択する理由があるのか?
金融業界人にとって『香港』と言う都市は非常に魅力的にその目に映る場所であり、デモ …
-
-
香港の大胆な挑戦:「スマートシティ」への転身に成功できるか?
約6年前、当時の香港行政長官であったCY Leungが「スマートシティイニシアテ …
-
-
【重要】CCM香港休業のお知らせ
平素は格別のお引きたてを賜り誠にありがとうございます。 弊社CCM香港は、下記の …
-
-
20年目の節目を迎える香港の現状
既に一部の巷を賑わせていますが、今年の7月1日、香港はイギリスから中国へ返還され …
